「普通」……特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。
辞書にはそう書いてあります。
普段、何の気なしに「普通」という言葉を使ったり、普通ではない「特別」に憧れたり、反対に、
人に「変(普通ではない)」だと思われたくないと思ったりすることがあるという人は少なくないでしょう。
ですが、実は、この「普通」という価値観って、社会でなんとなく共有されている
ものの、実はかなりあいまいで、けっこう偏っているように思います。
平均点や平均収入なんて、実はあまりあてにならないものですし、
自分の「普通」と他の人の「普通」が違うことなんて当たり前にあります。
男性を「普通」とした時の女性や、LGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティー、
「男性の普通」「女性の普通」から逸脱した人、マジョリティではないと思われている、
みんながなんとなく共有している「普通」からはみ出した人たちは、しばしば不当な扱いを受けたりします。
また、女性が制作した作品や、女性のニーズに答えた商品が、「女の子文化」「女子向け」と
十把一絡げにされ、男性が制作した作品、男性向けの商品よりも、内容が薄く価値が低いとされたり、
男性目線によって曲解された「女の子文化」が“正しい”とされてしまうこともあります。
それに、誰もが皆、少しくらいは「普通」ではない部分を持っているでしょう。
いいえ、本当は、完璧に「普通」の人なんてどこにもいないのではないでしょうか?
来年2016年の2月19日から2月28日に、現代美術作家で文筆家でもある柴田英里が、
新進気鋭のクリエイターや学者など、毎回2名の豪華なゲストを迎えつつ、こうした
問題を改めて考える全5回のアートトークイベントを開催することが決定しました。
会場は東京都新宿区の新宿眼科画廊。
イベントの各回概要は、
【第1回】2月19日(金)19:30~
美術史の中で女性作家はどのように扱われてきたのか?第1回は、ろくでなし子さんが
二度逮捕された事件に触れ、現代における芸術と女性の関係について捉え直します。
ゲスト:山崎明子(視覚文化論・美術史/奈良女子大学准教授)、ろくでなし子(アーティスト・まんが家)
【第2回】2月20日(土)17:00~
日本では、クィアアートやフェミニズムアートなどは歴史として体系化されていません。
第2回は、日本のクィア表現の歴史や差別の問題、クィア表現の新たな可能性について議論していきます。
ゲスト:千葉雅也(表象文化論・哲学/立命館大学准教授)、土屋誠一(美術批評/沖縄県立芸術大学准教授)
【第3回】2月21日(日)17:00~
芸術の領域にも、様々なハラスメントはありますが、狭いコミュニティーゆえに明るみになることは
少ない現状があります。若手表現者がハラスメントに遭遇した時の具体的な対処法や被害を未然に防ぐ
対策を紹介していきます。
ゲスト:小谷真理(文芸批評家/明治大学客員教授)、深澤純子(NPO法人ヒューマンサービスセンター局長)
【第4回】2月27日(土)17:00~
絵画や彫刻、ドラマやアニメに広告、現代は、様々な視覚文化に囲まれた、視覚過剰時代とも言えます。
それらの図像や映像表現の意図や意義を読み解くための技法を、いくつか例を出しながら紹介していきます。
ゲスト:石岡良治(批評家・表象文化論)、星野太(美学・哲学/東京大学特任助教)
【第5回】2月28日(日)17:00~
女性が制作した作品が、「女の子文化」と十把一絡げにされ、作品のコンセプトなどが蔑ろにされてしまうことが
あります。作品や文化の核が封印されてしまわないためにはどうすれば良いかを表現者の視点から議論していきます。
ゲスト:きゅんくん(ロボティクスクリエイター)、ni_ka(詩人・アーティスト)
そして現在、このイベントを映像と記録誌として残すためのプロジェクトが、
クラウドファンディングサイトの「CAMPFIRE」にて行われています。
イベントを開催する場所が東京のみであり、会場のキャパシティも限られることから、
このイベントの内容をより多くの人に伝えるためには、映像と記録誌として残す必要が
あると企画者の柴田が考えたことが、プロジェクト立ち上げの動機です。
また、このキャンペーンは、パトロンになった際のリターンもとても豪華です♡
支援して頂いたお金で制作するイベント記録DVDや、イベント記録作品集をはじめ、
イベント無料チケットやオリジナル缶バッチ、オリジナルトートバッグ、オリジナルTシャツや、
オリジナル柄タイツ、ドローイング。さらに、シブカル杯でグランプリに輝いた柴田英里の新作作品
までもらえてしまいます!
気になった方はこちらをチェック♡
【マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー・アーカイヴプロジェクト】
http://camp-fire.jp/projects/view/3955