「振り返った時に、『この個展がターニングポイントになったよね』と言ってもらえる個展にしたい!」
人気写真家・蜷川実花がそう言い切る写真展が現在開催中だ。
東京・品川の原美術館で行われている “蜷川実花: Self-image”展である。
刺激的な極彩色、幅広い交友関係、過激な描写―――、いつもどこか“派手さ”がつきまとう蜷川氏が今回並べたのは「モノクロ」「セルフポートレート」「noir」といったパブリックイメージとは少し解離するワード達だった。
原美術館ならではの美しい洋館の魅力を十二分に活かす展示は5部構成で繰り広げられる。
取材当日の朝完成させたという映像・音響インスタレーションに始まり(2015年)、
彼女が自分の「生身に近い」と語る“noir”という色彩溢れる部屋(2010年)、
2階へと続く階段を照らすガラスに施されたモノクロ写真を通り過ぎ(2015年)、
離婚当日に無我夢中にただただ目黒川の桜を撮影したという“PLANT A TREE”の部屋を挟んで(2011年)、
主題である“Self-image”が飾られた部屋が構える(2013年)。
どの部屋も興味深かったものの、今回はやはりセルフポートレートに重きを置きたい。
彼女にはセルフポートレートを多く撮る時期が周期的にあるらしい。
デビュー時の20代前半、二度目は映画『さくらん』撮影時、そして三度目は映画『ヘルタースケルター』撮影時だ。
それらに共通するのが、大勢の人たちと仕事をしている時。
特に『ヘルタースケルター』撮影時は、大勢のクルーをまとめる「監督」という立場の自分とまるで均衡を保つかのようにして、着飾るでも取り繕うでもない自分を映し出していたそうだ。
と同時に、「カメラ一台で私はまだイケるぞ」と言い聞かせていたという。
最後に、個展を見に来た方々に鑑賞後どのような感想を持ってほしいかという質問に一言、
「『蜷川実花も結構すごいじゃん』と思われたい!」
チャーミングな魅力と内々から溢れんばかりの強い感情、二律背反へと誘う不思議な空間を、ぜひ原美術館で。
■写真展情報
展示会名「蜷川実花:Self-image」(英題 Mika Ninagawa: Self-image)
会期:2015年1月24日 ― 同年5月10日
主催 会場:原美術館 (http://www.haramuseum.or.jp/)
開館時間:11:00am – 5:00pm (水曜は8:00pmまで/入管は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日にあたる5月4日は開館)、5月7日
入館料:一般 1100円、大高生 700円、小中生 500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引き
■参照
・蜷川実花公式HP (http://www.ninamika.com/all/pickup/self-image-exhibition.html)
・原美術館 (http://www.haramuseum.or.jp/)