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ハワイの海と空、1000年後の未来を描く 山崎美弥子さんインタビュー

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2017年9月1日


ハワイの海と空、1000年後の未来を描く  山崎美弥子さんインタビュー


 

ハワイの海と空、1000年後の未来を描く

山崎美弥子さんインタビュー

 

 

 自然豊かなハワイ・モロカイ島で「1000年後の未来」の風景として海と空を描き続けている、画家の山崎美弥子さん。淡いツートーンカラーの絵画は、ずっと見ていても飽きがこないし、何故か癒やされる不思議なパワーを持っています。

 そんな山崎さんの個展が15年ぶりに東京で開催されるということで、お話を伺いました。

 

 

girls Artalk編集部:

 山崎さんは2003年にご家族でハワイに移住されたんですよね。東京のご出身で、現在は人口7,000人のモロカイ島。かなりのギャップだと想像しますが、移住のきっかけは何だったんですか?

 

山崎美弥子さん:

 移住は単独でした。夫に出逢い船上生活を経てこの島に移住することになった、人生の転機が訪れる数年前から、わたし自身の「美しいと感じる色」が変わってきたのです。それまで好きだった色に興味が無くなり、違う色たちにこころ惹かれるようになりました。理由などわかりません。でも、まるでわたしは実体のない何かを手探りで求めているかのような感覚に陥ったのです。それはまるで強い焦燥感にも似ていました。そうして、遂にわたしはこの島に降り立ち、探していたものを見つけました。

 

  この島には有名なコーヒーチェーンやバーガーショップはもちろん、椰子の木よりも背の高い建物や、たったひとつの信号機さえありません。それを知ればおそらくきっとみなさんも東京とモロカイ島の違いがわかるでしょう。

 

 東京という大都市に生まれ育ち、長い間「システム」に疑問を抱いていたわたしにとって、この島への移住は大きなギャップがあっても、それはとてもここちよく、不便を感じることもありませんでした。それはむしろ、魂の故郷を見つけたかのような素敵な出来事でした。そうです。わたしがとりつかれたかのように探していたのは、まさに「そんな出来事」だったのです。

 

 

girls Artalk編集部:

 モロカイ島ではどんな日々をお過ごしなのでしょうか?

 

山崎美弥子さん:

 山から昇って来る眩しい朝日に照らされながら、馬たちやアヒルたちに餌を与えます。ジンジャーやパパイヤ、バナナの若い木たちにたっぷりと水を蒔いてから、二人の娘たちを学校へ送ります。そのあとはオーガニックの豆を挽いてコーヒーを入れます。ココナツミルクをたすことを忘れずに。そうしてマグカップを片手に、カンバスに向かいます。日が高くなると仕事の合間に夫とランチをとり、午後には娘たちのフラのレッスンの送り迎えをします。日が暮れかかると夕食の支度。夫と毎日交代で作っています。必ず家族4人で揃うのがわたしたちのルール。ラナイ(バルコニー)のテーブルにご馳走を並べたら、いただきますの前に、みんなで手を繋いでこの世界を創ってくれた神様にお祈りを。刻々と移り変わる海と空の色たちに見つめられながら。

 

 

 

◇不思議な体験が、創作の原点に 

 

girls Artalk編集部:

 1000年後の未来の風景として、海と空を描き続けているのはなぜですか。

 

山崎美弥子さん:

 わたしは少女の頃に、とても神秘的な体験をしたことがあるのです。円盤に拐われたとか、そういうことではないのですが、非日常的で特別な体験でした。「完全に無条件に受容される」という、でも、意識の中だけの体験。そうです。「無限の愛」の体験だったのです…。

 

 ちょっと話が変わりますが、とある20世紀の巨匠は子供の頃、自身も画家であった父親から海の前に座らさせられ、スケッチブックと一本の鉛筆とという、そのシンプルな材料のみで「水平線を描きなさい。」と言われたといいます。毎日。言うなればそれが彼にとって、絵描きとしてのジャーニーのエピローグだったたわけですね。「水平線」と言いますけれども、本当にそこに「線」はあるのでしょうか? わたしと夫のレビーは太平洋で船上生活をしていた頃、沖に漕ぎ出し、島から島へと渡りました。波と波とを超えて。来る日も来る日も。そこに本当に「線」にあるのならこの手で掴めるはず。でも、わたしたちがどんなに彼方まで漕ぎ出しても、その「線」を掴むことは一回たりともできませんでした。海と空の境界線…。もしかするとわたしたちは、実際に在るのか無いのかわからないものを、「在る」と思い込んでしまっていることが、たくさんあるのかもしれません。あなたが在ると信じているその「線」は本当にそこに在るのでしょうか…? 

 

 …またある時、わたしは不思議な賢者に出会い、こう言われました。「…あなたは目には見えない世界を描く力を授かった人。1000年後の未来、それは、我々が想像し得る理想のそのまた理想の未来。それは、現実不可能かもしれないほどの。その未来から1000年遡った過去の時点としての現在を生きること。すべてのこどもたちのために。その1000年後の風景を描いて人々に見せること。それがあなたの使命です。」と。

 

 …もしかしたらわたしが少女の頃にあった、あの神秘の体験は、1000年後の未来へのタイムトリップだったのかもしれません。海と空の境界線が横たわる風景が、カンバスの四角い窓の向こうに広がる。それは1000年後の風景。しいてはわたしが見つめている、あらゆる境界線や条件と、時をも超えた世界の風景なのです。

 

 

girls Artalk編集部

 お休みの日は何をして過ごしていますか? 趣味や最近好きなことなどあれば教えてください。

 

山崎美弥子さん

 休日は、馬に乗る娘たちの隣を夫と一緒に歩いたり、家族でビーチへ行ったり、ピクニックディナーをして楽しんでいます。もちろん愛犬のピーナツも一緒に!

 

 趣味? 自分の人生を生きることがわたしの趣味です。

 

 

 

girls Artalk編集部:

 今回15年ぶりの個展ですが、お気に入りの作品はありますか?

 

山崎美弥子さん:

 全部です。お気に入りでないものはお見せ致しません。笑。

 

 思い…。神様からの手紙を紐解く瞬間です。

 

 

Letter from God 神様からの手紙。 ファッションデザイナーとしての華々しいキャリアで知られる野口アヤさん。彼女が、実は9月の個展の仕掛け人。まるで神様からの手紙のような出来事が、この15年ぶりの個展を実現させました。それは黄色い花畑け…。 わたしとレビーが131番地のこの家へ最初に導かれたのは、常夏の島の12月のことでした。予期せぬハプニングが続き、困惑しながらも遂に思い出の一杯つまったサンダルウッドの丘の家を去ることを決めた日…。荒野へ放りだされた迷い猫のように、レビーとわたしはさらへ東の高台へとクルマを走らせたのです。終わりもなく続くかのようなそのスロープ。南には水平線がわたしたちを追いかける。わたしは、ふと気がつきました。「…あぁ、この道は来たことがある。こんな道を通って辿り着く家に住みたいと夢見た道…。」道の両脇に咲き乱れた一面の黄色い野花。いつにも無くたくさん雨が降った12月。いつもならカラカラに乾いて赤茶けた山々、しっとりと雨露に濡れ、黄色い花々のふちが白金に光る。…それはまるで、この島に一度も訪れることなく天へ還ってしまった亡き父の、遺影の背景にある天のくにの風景のようでした。…丘を上りきり、初めて131番地の家の前に降り立つ。目前に大きく出現した海と空。そして「待ってたよ。」と、囁きほほえむ小さな黄色い花たちの揺らめき。抱きしめられた時のように、からだの中心があたたかくなり、そのぬくもりは、優しい涙となってわたしの中からこの世界へとこぼれ出しました。時は止まったかのようでした。目をあわせなくても全部わかりました。隣にいるレビーが同じように感じていることが。 クルマに放り投げたままの有り合わせで使っていたスケジュールブック。無造作に。それでもカヴァーには12月にこの星を去ったばかりの大好きなアンクルの写真を付けていた。使いかけのページを開いたままで。ふと閉じて、わたしは目を見張りました。そうです。気にもとめなかったカヴァーデザインは、黄色い花畑けだったのです。貼られた写真。まるで黄色い花畑けの中にアンクルがたたずんでいるかのよう。いたずらっ子のようにこっちを見てる。クスクス笑う黄色い花たちをバックグランドにして。 その日からわずか3週間後、この家に、わたしたちは娘2人とともに、家族揃って暮らし始めたのです。…どうやってそんなことができたのでしょう。この天国131番地の家で暮らし始め、深きものが降りて来ました。この家に来てわたしは、もっともっと絵を描くようになりました。海と空の絵を。花の絵を。 「美弥子さんの個展をやらせてください。」アヤさんでした。 満たされていたわたし。「いいかもしれない…、今、遠く海の向こうまで絵たちを運んで、たくさんのひとたちに見ていただこうとはしなくても、いいかもしれない…。」どうお返事すればと考えあぐねていた、まさにその時。アヤさんの、何気なく撮ったスナップ写真がわたしの目に飛び込んできました。それは、黄色い花畑けの風景。どこでどんな時に、どういう理由で、その写真を彼女が撮られたのかは知る由もなく、でもわたしはもう知っていました。そうです。これこそは神様からの手紙。 朝目覚めると、ひかりは雲から山へはしごをかける。夕暮れには、マジカルな色たちがわたしを見てる。すべては1000年後の風景。過去と今、そして未来。いつもわたしは、そしてあなたは此処に「いる」。 9月に、わたしの生まれた都市(まち)で、紐解かれることでしょう。 神様からの手紙の真意が。 シソンギャラリーにての15年ぶりの個展に向け。 8月のモロカイ島、天国131番地にて。 山崎美弥子 #hawaii #molokai #miyakoyamazaki #lifeisbeautiful #ayanoguchi

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girls Artalk編集部

 それでは、最後にgirls Artalk読者へメッセージをお願いします!

 

山崎美弥子さん

 心惹かれること、大好きなことをどんどん見つけて、自分の毎日をそれでいっぱいにしてください。他の誰とも比べなくてもいいから。そうすれば、そのうちあなた自身の人生そのものがアートになっていくことでしょう。それ以上に楽しく幸福なことは無いと思っています。わたしのようにね…!(ウインク)

 

 

ハワイ海と空からパワーをもらえる山崎美弥子さんの展示は、明日9/2から。お見逃しなく!

 

 

写真提供 : 山崎美弥子

文 : 新井まる

 

【プロフィール】

山崎美弥子(Miyako Yamazaki)

1969年東京生まれ。多摩美術大学絵画科卒。床を花で敷き詰めるアートプロジェクト「Splendor」他、平面作品、映像、インスタレーションを国内外のギャラリーや美術館で発表。2003年に東京オペラシティアートギャラリーで発表した、巨大な青いケーキを観客と共に創るプロジェクト「海と空の結婚式」の当日は、台風の悪天候にも関わらず、その夏の同美術館の最多入場者数を記録した。その後、2004年より太平洋で船上生活を始め、現在は人口7000人の島で、心理学者の夫と二人の娘、二頭の馬と暮らしながら、主に絵画作品を制作する。ハワイ・モロカイ島在住。Instagram @miyakoyamazaki

 

主な展覧会は、「Love Speaks」P-HOUSE(1999)、「Love’n pieces」ワタリウム美術館/オンザサンデーズ(1999)、「海と空の結婚式」HIROMI YOSHII(2001)、「GIRL! GIRL! GIRL!」東京オペラシティアートギャラリー(2003)、「Cafe in Mito 2004」水戸芸術館(2004)

主な出版物は、「Love Speaks」光琳社出版刊(1999)、「Heavenly Brights」ニュースベース刊(2001)、「モロカイ島の贈り物」産業編集出版刊(2006)

 

 

山崎美弥子さんの絵に会いに行こう!

【展覧会情報】

【展覧会タイトル】山崎美弥子展 My one thousand years ~海と空の絵~

【期間】2017 年 9 月 2 日(土) – 9 月 24 日(日) ※月曜休

【営業時間】11:00 – 20:00

【場所】SISON GALLERy http://sison.tokyo

〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町 3-18 TEL 03-6886-8048



Writer

★【代表】新井 まる

★【代表】新井 まる - MARU ARAI -

アート専門webマガジン「 girls Artalk 」代表 / 株式会社maru styling office 代表取締役

 

イラストレーターの両親のもと、幼いころからアートに触れ、強い関心を持って育つ。

大学時代からバックパッカーで世界40カ国を巡り、美術館やアートスポットなどにも足を運ぶ旅好き。

新卒採用で広告代理店に就職し営業として3年間勤務の後、アパレルEC部門の販促に約1年間関わる。その後、一念発起して独立。アート専門webマガジン「girls Artalk(ガールズ・アートーク)」を立ち上げ、アートの魅力を伝えることに日々奮闘している。

 

好きなものは、餃子とお酒と音楽と旅。

 

 

 

★「 girls Artalk(ガールズ・アートーク) 」は、「ガールズトークをするように、アートの話をしよう」という想いからできた、アートをもっと身近に楽しむためのアート専門webマガジン。各分野で活躍する女性ライターやモデルたちがリアルな目線で情報を発信。アート業界から注目を集めている。

 ♡アートwebマガジン「 girls Artalk 」 http://girlsartalk.com/

 






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