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「Art in You」そして 3.11リライト・プロジェクトへの思い 〜芸術家・宮島達男氏インタビュー〜

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2017年3月8日


「Art in You」そして 3.11リライト・プロジェクトへの思い 〜芸術家・宮島達男氏インタビ


「Art in You」そして 3.11リライト・プロジェクトへの思い 

〜芸術家・宮島達男氏インタビュー〜

 

直島のインスタレーション作品『Sea of Time 98’』、2016年にオープンしたメトロポリタン美術館・別館「The Met Breuer」に展示された『Arrow of Time (Unfinished Life)』など、人々の記憶に残る作品を世界中で発表し続ける芸術家・宮島達男さん。数字がカウントされていく作品に込められた思いをインタビューさせていただきました。また、東日本大震災以降から消灯していた、パブリックアート『Counter Void』を再点灯しようという「Relight Project(リライト・プロジェクト)」についても教えていただきました。

 

 

 

girls Artalk(以下、gA):元々大学で絵を学ばれていた宮島さんが、どうして「数字」を使った表現に至ったのでしょうか?
 

 

宮島達男さん(以下、宮島さん):お洒落をしたい時って、みんながしたい格好はしたくないじゃないですか。少しとんがった感じというか、周りと差別化をはかりたい気持ち。その心理と似ていて、油絵ってみんながやっているんですよね。だから、油絵科なのにデジタル部品を使いました。他とは違う主張をするために、全然違うメディアを選びました。

 

 

 

『COUNTER LINE No.2』 宮島達男 (1989)

 

 

宮島達男さん

 

 

 

「生」と「死」の繰り返しは人間の当たり前の姿

 

gA:「9」から「1」が絶え間なくカウントされていく作品の意味を、改めて教えていただけますか?

 

宮島さん:数字がカウントしていくというのは、主に「変化していく」ということを考えていました。変化をしていくということが、すなわち「生きていくこと」と捉えていたので。数字が「9」から変わっていって「0」に到達した時点で何も無くなり暗闇になるのですが、それは「死」を意味します。

その「生」と「死」を繰り返していくことが、生きている人間の当たり前の姿なのではないか、という主張だったのです。

 

 

 

『Time Waterfall』宮島達男(2016) ICCビル (香港) @Art Basel HK

 

 

 

gA: なぜ「0」という数字は表示されないのですか?

 

宮島さん:数字を光(照明)で表示しているので、「0」の時も明かりはつけっぱなしになってしまいますよね。それでは変化が乏しくなってしまうので、「0」=「死」と捉え、光と暗闇の両方を表現できるようにしました。

光と闇のダイナミズムによって、「生」と「死」のダイナミズムを表現したかったので、「0」はあえて表示しませんでした。

 

 

『MEGA DEATH』宮島達男(1999)@オペラシティーギャラリー(DOMUS Foundation 蔵)撮影:上野則宏

 

 

 

「生」と「死」は美術史で延々と続くテーマ

 

qA: そもそも、なぜ「生」と「死」を表現しようと思われたのですか?

 

宮島さん:そうですね、学生の頃からずっと追いかけていこうとするテーマでした。美術の歴史は長いですが、振り返ってみるとテーマの種類って実はそう多くないんですよね。いわゆる西洋におけるキリスト教の宗教画においても東洋における仏教画でも、主に「生」と「死」というものが重要なテーマでした。それが現代に至るまで延々と繰り返されています。あとは自然に関することとか、人間自身を題材にしたりだとか…  テーマの種類ってそう多くないのですよね。なので僕は、オーソドックスなテーマを選んだといえます。

 

gA:ただ表現の媒体が、他とは違ったということですね。

 

宮島さん:そうですね、お洒落をしていったのですよね。おじさんなのに。

あ、その頃は若かったですけど。(笑)

 

 

 

 

 

 

視覚から聞こえる自分だけの音
gA:作品を拝見していると、あの点滅する数字たちが、死へのカウントダウンという意味はもちろん、心臓の鼓動にも感じました。

 

 

 

『Death of Time』宮島達男(1990-1992)(広島市現代美術館 蔵)撮影:Mitsuhiko Suzuki

 

 

 

宮島さん:そうですよね。面白いのが、人は数字の点滅を見ながら、頭の中で自然とリズムをとるようなのですよ。

 

gA:各々がですか?

 

宮島さん:そう。チクタクチクタクというか、刻む音が頭の中で鳴るらしいです。なので、いろんな人から「作品から音が出ているのですか?」とよく聞かれますが、実際は無音です。不思議ですよね。つまり、視覚から自分自身で音を生み出しているのですよ。

 

gA: その拍数は人によって違うのでしょうか?

 

宮島さん:違うでしょうね、きっと。なのでよく「心臓の音みたい」という感想もいただくのですが、そもそも心臓の音というのも、脳みそが勝手に生み出している音なのですよ。

 

gA:それも作品の狙いなのですか?
宮島さん:いや、狙ってはなかったです。作品によって効果は生まれますが、僕の場合すべて、狙ったことはないのですよ。ただ自分がこうしたい、と思ったことを発表すると、思いもよらない感想が寄せられたりして。それはもう副産物ですね。

 

 

 

 

 

 

宮島さん:ただこれは実際、意図すると逆にカッコよくないんですよね。

また意図しすぎると広がりがなくなって、見る人たちの視野を狭めてしまうので、なるべくこちらはフランクに構えて「どんな思いも受け止められますよ。」という姿勢のほうがいいのです。

 

 

 

”Art in You”  見る側にあるアートという装置

 

gA:作品はどんどん進化しているように見えますが、そういった「狙わない」姿勢は発表していく中で生まれたのですか?

 

宮島さん:そうですね、なるべく削ぎ落とした表現をしていますので、見る側に「こう見て欲しい」と強要しないように努めています。どんな見え方をされてもいいように、ニュートラルに作ること。その中でお客さんのいろんな反応に触れられると、「やっぱりこれは正しいやり方なんだな」って強靭になっていきます。

 

gA:まさに、宮島さんが一貫して掲げられる「Art in You」という考え方ですね。

 

宮島さん:そうなんですよ。最初から「Art in You」と考えていたわけではなく、少しずつ少しずつやっていくうちに、「この表現は自分のことではなくて、見る側がそういう装置を持っているんだな」と考えざるをえなくなりました。でなければ、説明がつかなくなってきて。
gA:徐々に「Art in You」が生まれていったのですね。

 

 

 

アートは難解なんかじゃない。大切なのは、自分で感じ考えること。

 

宮島さん:ここで、ガールズ・アートークの読者の皆さんにとっても重要なことをお伝えしたいのですが、美術というと「難しい」とか「敷居が高い」と言われがちじゃないですか。でもそれは、アーティストはたまたアート関係者が、そういう方向に仕向けてきたんですよ。

 

gA:それは何故ですか?

 

宮島さん:自分たちの権威を守るために。

「君たちにはわからないだろう?僕たちが上で、君たちが下なんだ」という感じ方をするように教育されてきたんです。アーティストは天才で俗人には手が届かない、という考え方。みなさんも実際、そう思っていませんか?

 

gA:ありますね。芸術家は自分と別世界の人間だと、どこかで思っているかもしれません。

 

宮島さん:美術の歴史に名が残る人は初めから天才で、私たちには才能がないから作品の良さがわからないんだって思っていませんか?

「これはすごい作品で、もう手に入らないですよ」と言われたら、これは価値があるものなんだろうなって、わからなくても大金を払っていくのです。

 

 

 

 

 

 

でもそのときに、自分の心が感動しているかどうかって実はあまり振り返らないんですよね。本当に重要なのは、それを見たときに自分の心が震えているか、気持ちにグッとくるものがあっただろうか。

 

例えば、世に何百年と残っているような、ミケランジェロとかレオナルド・ダ・ヴィンチやゴッホの作品があるでしょう? 彼らも初めから評価されてきたわけじゃないんですよね。でも今や、いろんな人たちが好きな作家です。

それはなぜかというと、まったく知らない人物が描いた作品でもぱっと見たときに「あ、きれいだな。」って思えるからなんですよ。それが何百年と続き、何十万人何千万人と共感者が増えていって、「あぁ、あの絵はすごいな」って認識するようになるわけです。

そうやって、名画というものが残っていくのです。

 

gA:単純明快ですね。
宮島さん:そう、単純明快。

 

 

 

 

 

 

宮島さん:本来、アートは感じたままに受け取ればいいはずなのに、わけのわからない理論を後からくっつけては、「俺にしかわからないんだから、俺の説明をちゃんと聞け!」と偉い人は主張するんですよ。そうすると、「偉い人が言うんだからその通りだ」って、みんな自分自身で何にも考えなくなってしまう。

 

感じてないのに、感じるよう脳が命令するわけですよ。または、本当は感じているのに「この人は無名だから、ひょっとしたら価値はないのかもしれない」ってシャットアウトしてしまう。それは、勿体ないですよね。

 

gA:それは日本特有の教育ですか?

 

宮島さん:いや、外国も似たり寄ったりですよ。強烈な権威を所有している美術業界というものがあって、そこは強烈なパワーを持っているので、むやみやたりに普通の人は入り込めないよう今もなっている。

 

だけどそういった権威をぶっ壊そう!と戦ってきたアーティストは沢山います。僕が好きなアーティストはそういった人たちですね、ヨーゼフ・ボイスとかナム・ジュン・パイクとか。そういう人たちは、権威と戦ってきた人たちです。

 

gA:宮島さんも戦ってこられたのですね。

宮島さん:いやいや、僕はオーソドックスな人間ですから。(笑)

 

 

 

アートに救われた子ども時代

 

gA:ここで、宮島さんの更なる原点に迫ってみたいのですが、美術に目覚めたきっかけは何でしたか?

 

宮島さん:そうですね、昔から落ち込むことが多かったのですが、その時に絵を見ることが好きでした。絵を見ることで、励まされることが多かったのです。アートに救われたというか。だから、自分も美術の道へ進みたいなと思うようになりました。17、18、19の頃だったと思います。

 

gA: 特に印象的だった作家の作品などはありますか?

 

宮島さん:セザンヌですね。ゴッホとか。いわゆる泰西名画と呼ばれるもの。あと映画も好きでしたから、映画でいえば黒澤明監督の『七人の侍』とか。寅さんの映画とか。漫画だったら『明日のジョー』とか。まぁいわゆるオーソドックスなものですね。オーソドックスな人間なんですよ。(笑)

 

gA: オーソドックスな「生」と「死」をテーマに選んだということですが、何か「死」を意識するようなきっかけが、子供の頃にあったのでしょうか?

 

宮島さん:それはありますね。小さい頃から病気がちだったというか。それは影響しているでしょうね。そのおかげで、小さい頃からいろんな本を読み漁るようになったし、哲学的な書物を読むようにもなったので、病気が背景にあるとは思います。

 

自分は絶対に肉体労働で稼ぐことは出来ないと思っていたんですよ。どちらかというと頭脳労働派?(笑)頭脳労働で生きていかなきゃいけないと思っていたので、読者もしたし勉強もしました。

長生きは出来ないだろうな、って思っていましたから。だから今こんなに長生きしていて、驚いてるのですけど。
gA:そういった背景が宮島さんの知層を深め、アーティスト「宮島達男」を形成していったのですね。

 

 

 

 

 

 

バラバラのスピードが生み出すハーモニー

 

gA:作品についてもう少し伺いたいのですが、カウンターひとつひとつのスピードが違うのも、特徴のひとつですね。

 

宮島さん:はい。直島にある作品は、島の住民にカウンターの速度を設定してもらいました。速いカウンター、遅いカウンター、それぞれ異なるスピードのカウンターが一個に集まっている。そこがミソなんですけど。

 

いろんな個性が一堂に会しその場を共有していくと、なんとなくハーモニーが生まれてくる。美しさがそこから生まれてくるのです。

それを感じ取れる装置になっています。

 

 

 

「Sea of Time 98’」 宮島達男(1998)(ベネッセアートサイト直島 蔵)撮影:上野則宏 

 

 

 

gA:ハーモニーは、宮島さんの重要なテーマである「関係性」につながりますね。

 

宮島さん:そう。これが同じスピードの集合体だと、まったく面白くないんですよ。バラバラのスピードだからいい。生き急ぐ奴もいれば、オーソドックスな僕みたいな人間もいて。(笑)

いろんな人がいていいんですよね。それぞれが個性を光らせて、自分の花を開いていけば、百花繚乱のような情景が生み出せるのです。

 

gA:2012年には機械自らがカウントしていくカウンターを使われたり、作品も時代と共に変化していっています。

宮島さんにとって「関係性」は時代と共に変化していくもので、それを作品で表現されていますか。

 

宮島さん:関係性が時代と共に変化するというよりは、関係性の多様さを深く広げていくほうだと思います。関係性のいろんなあり方を作っているという。

もっというと、関係性の多様さを表現出来るように時代がなってきた、というのがポイントだともいえます。

 

gA:それはどういうことですか?
宮島さん:それはメディアの話ですね。ICチップとかマイクロコンピューターが発達してきて。最初はガジェットにタイマーしか載せられなかったのが、今はマイクロコンピューターを搭載できるようになったので、ガジェット自身で計算ができるようになりました。そうすると、一対一のみの関係性だったのが、もっと複雑なものも表現出来るようになりました。

 

 

 

「Life (rhizome) no.2」宮島達男 (2012)撮影:表恒匡(個人 蔵)

 

 

 

それによって、自分の立ち位置を少し変えてみるだとか、例えばこういう取材の場であったら少しオネエトークに変えてみるだとか(笑)逆にもっと男っぽい環境だったらガテン系にしていくとかね。そういう多様な視点に立つことも可能になりました。
メディアの進化と共に、これからもっといろんな関係性を表現出来るようになると思いますね。

 

 

 

 

 

 

gA:「関係性」に関連してお伺いしたいのですが、ツイッターをやられていますよね?

 

宮島さん:はい。それは、脳科学者の茂木健一郎さんに勧められてね。

大学に10年程関わっていて、学生から相談を受けることも沢山あったのですが、その内容は割と誰でもぶち当たるような問題が多かったんですよ。

なので、その問題をひとりの学生だけでなく、みんなでシェアしたら有効じゃないかと思って。「ここで迷ってたら、こういう風に考えればいいんじゃないの?」と伝えられるように。

だから「今日ここでラーメン食べました~!」みたいな投稿は一切してないです。って、そういう投稿を否定しているわけではないですよ。(笑)

 

30年以上アーティスト活動を続けてきてわかってきたことがあるので、それを若い連中にも伝えていけたらと。それをまとめた『芸術論』(※下部に詳細記載)という本が3月に出たんですけど。

 

gA:芸術家を目指す若者たちは必読ですね!

そのツイッターから、一部を抜粋させていただきます。

「芸術家と歯医者は同列はできないが、両立はできる」

これは名言だなと。 アートは生き方である、ということですね!

 

宮島さん:すごいとこから引っ張ってきましたね。(笑)

そうですね、そう思います。自分の中にある「アート」を信じていただきたいですね

 

 

 

記憶を呼び覚まそう。3.11 リライト・プロジェクト

 

gA:宮島さんが作られた、六本木のパブリックアート『Counter Void』を3月11日に再点灯する「リライト・プロジェクト」が、昨年に引き続き今年も開催されます。プロジェクトに関して教えてください。
宮島さん:東日本大震災がきっかけで、電源を消してしまっていた『Counter Void』という作品を、特定非営利活動法人インビジブルの林曉甫さんが「もう一度つけよう」と声をあげて立ち上がったプロジェクトです。昨年が第1回目で、今年は2回目なんだよね?

 

 

『Counter Void』宮島達男(2003) 六本木ヒルズ けやき坂テレビ朝日 蔵)撮影:Kunihiko Katsumata

 

 

 

林さん:はい。「完成された作品は自分にとって娘のようだ」と以前に宮島さんが話されていましたが、そんな大事な娘さんを嫁に出すように、「好きに使っていいよ」って僕たちに作品を委ねてくれたんですよ。点灯のやり方だったり演出だったり、どういう学びの場にしようかだとか、全部委ねてくれた。こういうアーティスト、本当にいるんだなぁって。

 

”嫁いだ娘の親”という立ち位置の宮島さんとお話をさせていただく中で、「生」と「死」というコンセプトを多くの人たちと一緒に考えていこうとする取り組みが、すごく面白いんですよ。二次創作的というか、すごく今っぽいなって。

 

宮島さん:そうそう。アート作品というのはさっきも言ったように、自由に感じてもらえるためにあるので、感じたり考えてもらえなければ意味がないんですよ。

 

2003の作品である『Counter Void』は、震災が起きてから鎮魂のために一度消灯しました。けど3年,4年経って、震災の時のことをみんなが少しずつ忘れかけていることに気付いて。風化させてはいけない、と思い林くんと話したんです。「もう一度点灯することで、記憶を呼び覚まそう」と。記憶の装置として、または鎮魂をもう一度考えようって。

 

思い出して欲しいんですけど、震災の直後って人生観が変わったと思うんですよね。

価値観が真っさらになって「ちょっと考えなおそう」と誰もが思ったはずなんですよ。僕もそうだったし。

 

 

 

『3.11が■ている。』Relight Project  @六本木アートナイト2015© Relight Project 撮影 丸尾 隆一

 

 

 

それがいつのまにか「ま、いいかぁ」と、ズルズルと来てしまった。「じゃあ一体、あの高揚はなんだったんだ!」って、もう一度揺り動かす目的で「リライト = 再点灯」することに決めました。しかもそれは、3.11から三日間だけ。ずっとついたままだとまたダラダラとしてしまうから、ついてまた消えることで、「死」というものを意識させたいのです。

そして今回は、いろんなアーティストたちが連動しているんだよね?

 

林さん:はい。受講生たちが宮島さんの「生」と「死」というテーマをある種引き継ぐような形で、学んでいくスクール(「リライト・コミッティ」)を半年ほど行っています。

 

 

 

「Relight Committee」の様子(2016)© Relight Project  撮影 丸尾 隆一

 

 

 

自分たちの行為として、各々が「生」と「死」にどう向き合っていくのか。そこが重要で、必ずしも作品づくりだけではないんですね。参加型のものもあれば、日々レコーディングしていくものであったり、個人のアクションの軌跡みたいなものです。

それは、公式HPで見ることができます。(http://relight-project.org)

 

宮島さん:参加者は募ったのですが、いろんなタイプの人がいます。普通の会社員の人もいたり。逆にアーティストは一人しかいないんです。ここが「Art in You」の面白いところで、アートを使って、自分は何ができるのかもう一度考えていくということなんです。それは誰でも出来るんだっていう。
林さん:美大出身者ではない彼らがスクールに参加することで、「じゃあ、アーティストって一体何者なんだろう」と感じ、ヨーゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイクについて調べ始めるんですよね。だから美術教育とは違う、こういうきっかけから彼らがアートの扉を開け知層を深めていくことは面白いですよね。

 

 

 

「Relight Committee」で講義される宮島さん 撮影 丸尾 隆一

 

 

 

宮島さん:『Counter Void』とリライト・プロジェクトとの関係にもつながるのですが、宮城県の石巻で『時の海 – 東北』という作品を作るんですよ。3000個のLEDを作ろうと思っていますが、東北の人たちにカウンターのタイムを設定してもらって、それらをプールに並べていくという作品にします。その参加者(被災した方々)とサポーターをクラウドファンドで募集しています。そちらもぜひ、関心を持っていただければ。(※下部に詳細を掲載)

 

 

 

『時の海ー東北』完成イメージ図

 

 

 

男の子を好きになるように、アートを好きになっていいんだ。

 

gA:ありがとうございました。最後に、ガールズ・アートークの読者にメッセージをお願いいたします。

 

宮島さん:例えば、ボーイフレンドを選ぶのって直感じゃないですか。

たとえ女友達に「えー、どこがいいのあんなチビー!」って言われても(笑)絶対、譲らない感性ってあるじゃないですか。アートの判断もほぼそれに近いと思います。

好きになったら、誰かに何言われても関係ないっていう。そうでないと、面白くないんですよね。創造性ってそこから花開いていくものだから。

 

gA:男の子を好きになるような感覚で、アートを好きになったっていいんですね!

 

宮島さん:そうですよ!じゃなければ、ゴッホみたいな変人の作品なんて有名になりませんでしたから。「この作品は絶対いいんだ!」って頑として譲らない人がいて「私もそう思う」って共感の声が増えていき、今に至ってるんですよ。
自分の中にある「アート」を信じていただきたい。自分が感じていることは、絶対に間違ってないですから。

 

 

 

「自分の中のアートを信じて!」宮島達男さん.

 

 

左から、ガールズ・アートーク代表・新井まる、宮島達男さん、ライター・多田愛美

 

 

 

ご自身の作品からアートの歴史、アートとの向き合い方など、とてもわかりやすく教えてくれた宮島達男さん。取材前は緊張していましたが、宮島さんの人柄に触れ、終始リラックスして貴重なお話をお伺いすることができました。

 

「アートはあなたの心にある。だからあなたの感性を信じて」

 

ガールズのみなさんへ、と優しく語りかけるように強いメッセージを残してくれた宮島さん。”100人いたら100通りの受け取り方がある” という広い心とニュートラルな姿勢から生まれる作品だからこそ、世界の至る場所に残っているのだと改めて感じました。

 

人間にとって当たり前の「生」と「死」。そして忘れてはいけない 3.11。

改めて個で向き合える機会を、リライト・プロジェクトは与えてくれます。

生きていくためにとても重要なこの時間を、一緒に共有しませんか?
文:多田愛美 写真:新井まる

 

 

 

【作家情報】

 

 

宮島達男

1957年東京生まれ。

1980年代半ばからLEDを用いて「9」から「1」までの数字が変化していくデジタル・カウンターの作品を発表。1988年、ヴェネチア・ビエンナーレにて『Sea of Time』を出品。以来、世界30ヶ国260ヶ所以上で作品を発表。1996年より「時の蘇生・柿の木プロジェクト」を、2009年より「PEACE SHADOW PROJECT」を推進。2016年に、宮城県石巻市に設置予定の『時の海 -東北-』制作を発表。現在、クラウドファンドによる参加者とサポーターを募っている。

 

 

【『時の海 -東北-』情報】

東北に「時の海」を作ります。応援お願いします!

3000個のLEDを巨大なプールへ設置します。

被害に合われた方々への鎮魂、被災者の再生。あの日を忘れないために作ります。

 

クラウドファンディング

https://motion-gallery.net/projects/tatsuomiyajima

 

 

【作品展情報】

宮島達男「LIFE (complex system)」

会期:2017年3月3日~4月22

会場:SCAI THE BATHHOUSE

住所:東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡

電話番号:03-3821-1144

開館時間:12:00~18:00

休館日:日月祝休

URL:http://www.scaithebathhouse.com/

 

Relight Days 2017

会期:2017年3月11日~3月13日

会場:六本木ヒルズけやき坂

       《Counter Void》前

住所:東京都港区六本木6-9

URL:http://relight-project.org/

 

宮島達男「Counter Skin」

会期:2017年4月7日~5月28日

会場:Akio Nagasawa Gallery

住所:東京都中央区銀座4-9-5 銀昭ビル6F 電話番号:03-6264-3670

開館時間:11:00~19:00

休館日:月火、2017年5月1日〜5月5日

URL:http://www.akionagasawa.com/jp/

 

宮島達男「Counting Drawing」

会期:2017年4月8日~5月21日

会場:CAPSULE

住所:東京都世田谷区池尻2-7-12 B1F

電話番号:03-6413-8055

開館時間:12:00~19:00

休館日:月~金

URL:http://capsule-gallery.jp/index.php

 

【著書情報】

『芸術論』

著者:宮島達男
編集:東晋平、大森貴久(東晋平事務所)
定価:本体1,600円+税
仕様:ハードカバー(上製本)
サイズ:四六判
ページ:136ページ
デザイン:木村稔将
ISBN:978-4-908122-07-1
刊行日:2017年3月3日刊行
*全国書店には、3月中旬

 

出版記念トークイベント開催

会期:2017年3月11日 18:00-19:30

会場:青山ブックセンター 

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目53 神宮前5-53-7

入場料:1080円

定員:110名

以下より申し込んで下さい。

http://www.aoyamabc.jp/event/futureofartist/

 

 

 



Writer

多田 愛美

多田 愛美 - manami tada -

新潟出身。大学でカルチュラルスタディーズを専攻し、卒業後は広告代理店のもとで映画の販促キャンペーン等を企画。その後、銀座のギャラリーに勤務し美術雑誌に携わる。ホワイトキューブを飛び出した、ひらかれたアートに感銘をうける。幼少期からピアノに触れ、上京後に作曲、ツーピース、トリオの演奏活動も行う。

情報過多な今に対応しきれないコンプレックスを抱えながら、アートを通して世界の今を覗く。アーティストの生き様から息遣いまで届けられたらと思います。

 






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