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I Musici (イ・ムジチ合奏団) インタビュー

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2015年10月15日


I Musici (イ・ムジチ合奏団) インタビュー


現在、来日コンサートで日本各地を巡っているI Musici (イ・ムジチ合奏団) 。
gAでもコンサートレポートを掲載させていただいた経緯から発展し、
メンバーからコンマスのアンセルミさんとチェンバロのブカレッリさんにお話を聞くことができました!

 

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左:アンセルミさん 右:ブカレッリさん

 

まず、コンサートの物販コーナーでも販売されていた新譜のアルバムについて話しを伺いました。

 

girls Artalk編集部 (以下:g)
Disk1に収録されているイタリアの古典とDisk2に収録されている中南米生まれの楽曲。
全く違う音楽をやってみてどうでしたか?

 

I Musici (イ・ムジチ合奏団) (以下:I)

中南米の楽曲はクラシックとは全く違うエネルギーに満ちている。

どちらかが良いとかいう話しではなく、ただエネルギーが違うような感覚で…
分かりやすく例えると、2つはまるで違う文法を使って話す、別の言語のようだね。
そしてクラシックも中南米の音楽も、とっても良い”エネルギー”を内に秘めてるんだ。

 

g:
そもそも、中南米の楽曲をやったキッカケは何ですか?

 

I

中南米…特にウルグアイなどの南米には、イタリアだけでなくその他南欧がルーツの人たちが多い。
だからヨーロッパ発祥のクラシックのような音楽と中南米の音楽は意外と近い存在なんだ。
ウルグアイ出身のアーティストとコラボレーションした際に、
それを感じて「やってみようか!」ということになったんだ。

 

g:
クラシックの方からすると…タンゴのリズムやジャズのシンコペーション、
そして少し攻撃的⁇な演奏することに対してどのように感じましたか?

 

I

確かにエネルギッシュだよね。内にダンスのリズムを秘めているようなかんじ。

そんな中南米の音楽は実は演奏をしている方からしても良い薬なんだよ!

演奏後に自分がより健康になっているというか…
元気になるエネルギーを注入されたように感じるよ。
そう言うと保守的な感じがするけど…薬と同時に激しくドロドロとした印象もあるね。

※インタビュアー注釈:Bloody music = 血みどろの音楽(血肉が通っているという意味)
   という面白い表現をされていました。

考えてみると…もともとクラシックは上流階級の「お上品」な音楽だったのに対して、
中南米の音楽はどちらかというと、下流階級から出てきたものだと思う。
だからやっぱりテンションは違うけど、そこがまた面白いんだ!

 

g:
また、それらを演奏するにあたって何か参考にされたり、
気をつけてることなどあったら教えてください。

 

I
さっきの質問でも言った通り、ヨーロッパと中南米はルーツとしてつながっているところもある。
DNAの中に組み込まれていると言ってもよいけど。良いムードをつかむことが大事…
要はちょうど良いポイント「鍵」みたいなものを探り当てることだね。

抽象的だけど、そういうところが大事だと感じるよ。

 

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そして、今回のコンサートを通じて…
素直に疑問に思ったことを投げかけてみました。

 

g:
もともと、室内楽は指揮者がいないことが前提なのですが…
12人ものメンバーが居たら指揮者がいないのに、どうやって普段は合わせてるんですか?
もしかして、練習のときは指揮者がいたりするんですか?

 

I:
指揮者はいないよ。
だからものすごくうるさい時もある(笑)

このスタイルを民主主義とも呼んでいる。

 

g:
じゃあ、誰が良し悪しを決めているんですか?

 

I:

みんなで話し合って決めていくよ。

 

g:
なるほど…楽譜上はもちろんですが、対話してるように見受けられました。
リーダーの人を見ながら皆さん演奏されてますが、その辺のコミュニケーションなどはどのようにされてるんですか?

 

I:

みんなで話し合いながら進めるといっても、自分の個性を殺す必要はないんだ!

みんながそれぞれに”必要だと思うこと”や”アイディア”、”人生そのもの”について出し合って、
より良いものを作りあげていく。責任の所在といったものはきちんと配分しているけど、
全員が作り上げるプロセスに参加しているということが重要なことなんだよ。

 

g:
個人的にヴィヴァルディの『四季』は43分間とありますが…すごく短く感じました。
何かテクニックなどあるのでしょうか?

 

I:

この曲は作られてから時間が経過している。
いわば、時代の荒波を越えて、現代に伝わる楽曲なんだ。

※インタビュアー注釈:”the music is tested by time” という表現をされていました。
   因みに、彼らが演奏するヴィヴァルディの『四季』はバロック音楽ブームの火付け役になったと言われています。

今はポップスとかロックとか様々なジャンルの音楽があるけど、『四季』が作られた当時は他のジャンルはなかったんだ。
そんなこともあり、どうしたら聴衆を飽きさせないかということもすごく考えて作曲された楽曲なんだよ。

となると、この『四季』は当時のロックミュージックと考えてもいいぐらいだね!

どうすれば人々を感動をさせられるかを考えていた人たちと同じゴールを僕らも追い求めているんだ。

またもう一方で、『四季』にはいくつもの”層”があって、色んなレベルでの多様な解釈や聴き方ができる。
鳥やキツネなどの生き物の鳴き声を表現していたりと遊びの部分があるんだ。
演劇的な側面もあって演奏しているぼくたちがこの曲を演じる俳優でもあるんだ。

『四季』という季節を置きかえて、人間の一生を表現しているとも言えるし、宇宙を表現しているとも受け取れる。
いずれにしても、こんな天才的な作品が現代に伝わって、その楽曲を演奏できるのはとても素敵なことだね。

 

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g:
アンコールで『赤とんぼ』をやるのはどうして?

 

I:

この曲は日本へのオマージュ。
30年前からやっていて、もうすっかり合奏団の伝統になっているよ。

素晴らしいメロディーであることは間違いないね!

あまりにも素晴らしくて演奏しているぼくたちが涙をこぼしそうになるぐらいだよ。

楽器が濡れるといけないからあまり大泣きはしないけどね(笑)

でも、それぐらい美しい曲だね。

 

g:
そして、日本の観客の反応などはいかがですか?

 

I:

良いよ!
日常的にクラシックを聴いていない人たちも来ているという印象がある。

それは良いことで…観客に自分たちの思いを伝えたいと思って演奏しているよ。

いろんな音楽の違いを分かるようになってほしいからね!

観客もそうだし、自分の子供も同じ。観客…特に若い人たちに対して…
自分たちの演奏が良いか悪いかの「テスター」では、騙せないと考えているんだ。

もし、伝えたかった思いがちゃんと伝わっていなかったら、
それは演奏している自分たちに否があると言っても過言ではないね。

 

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熱く語ってくれるアンセルミさんとブカレッリさん。
そんな彼らに普段はどんな音楽を聞いているのかを質問してみました。
※コンマスのアンセルミさん(以下:A)
 チェンバロのブカレッリさん(以下:B)

 

B:

バロック音楽、ピアノ曲、70年代初めの曲や黒人ミュージックも聴くよ…
スティービーワンダーもいいね!

A:

世の中には「良い音楽」と「悪い音楽」がある。ぼくは「良い音楽」だけを聴く。
ジャンルを問わずにね。ポップスも、シューベルトも聴く。

「この音楽は神様のいるところに近い音楽だなぁ」と思うような音楽が好きだね。

 

最後に…gA読者にメッセージをお願いした。

 

B:
コンサートや美術館などアートを楽しむ機会をぜひ大切にしてほしい。
美しいものを楽しむ時間は貴方を内面からより充実した人にしてくれるはずだ。

 

A:

人生が貴方に与えるもの全てを楽しみなさい。特に美しいものを。
音楽はその美しいものの一部で、さらに私たちの一部だと思う。
そして貴方をさらにより良い人間にしてくれるものだ。

 

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そして、会話が弾み…少しだけ雑談の流れへ…

イタリア人のお二方はとても日本食がお好きとのことだが…
本場イタリア人が推薦してくれる日本のイタリア料理屋さんを教えてくれた。

 

「あるでん亭 ソニービル店」

http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13026373/

gAの読者はぜひチェケラしてみて下さい♡

 

I Musici(イ・ムジチ合奏団)より今回のインタビューに応じてくれたお二方は、
音楽に対する情熱に溢れており、クラシック初心者でも分かりやすい表現に置きかえてくれる、
優しさに満ちている素敵な人柄です!
そんな明るく気さくな彼らとの楽しいひと時はあっという間に経過してしまいました。

是非、生で多様な解釈ができる”中世のロック”であるヴィヴァルディの『四季』をはじめ、
彼らの奏でる音楽を聴きにいってみましょう。

 

インタビューアー/クセニア  文・写真 / 新麻記子

 

 

【情報】

■10月17日(土) 14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール 【プログラムA】

【問】ABCチケットインフォメーション 06-6453-6000

 

■10月18日(日) 14:00 神奈川/横浜みなとみらいホール 【プログラムA’】

【問】神奈川芸術協会 045-453-5080

 

■10月20日(火) 19:00 東京/紀尾井ホール 【プログラムD】

【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

 

■10月22日(木) 19:00 秋田/アトリオン音楽ホール 【プログラムC】

【問】秋田アトリオン事業部 018-836-7803

 

■10月24日(土) 19:00 東京/サントリーホール 【プログラムA】

【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

 

■10月25日(日) 15:00 豊田/豊田市コンサートホール 【プログラムA】

【問】豊田市コンサートホール 0565-35-8200

 

【プログラムA - ローマ派・コレッリの生徒たち&「四季」】

コレッリ: 合奏協奏曲 ニ長調 op.6-4

ヴァレンティーニ: 合奏協奏曲 イ短調 op.7-11

ロカテッリ: 合奏協奏曲 ハ短調 op.1-11

***

ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8

 

【プログラムA’】

カストゥルッチ: 合奏協奏曲 イ短調op.3-4

ヴァレンティーニ: 合奏協奏曲 イ短調 op.7-11

ジェミニアーニ: 合奏協奏曲第12番 ニ短調 「ラ・フォリア」

***

ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8

 

【プログラムB - ヨーロッパ発、南米の作曲家たち&「四季」】

ロメロ: 弦楽のためのフーガ・コン・パハリージョ (ベネズエラ)

ピアソラ: ル・グラン・タンゴ (アルゼンチン)

セルバンテス: 5つのキューバの舞曲 (キューバ)

      (キスマーク、高級な夜の女、笑い、もう泣かないで、3つの衝撃)

ピアソラ: 室内オーケストラのための3つの小品 (アルゼンチン)

      (プレリュード、フーガ、ディヴェルティメント)

***

ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8

 

【プログラムC - with 荘村清志】

ジェミニアーニ: 合奏協奏曲第12番 ニ短調 「ラ・フォリア」

ヴィヴァルディ: リュート(ギター)協奏曲 ニ長調 RV93 (ギター: 荘村 清志)

ヴィヴァルディ: 弦楽のための協奏曲 ニ短調 RV127

ジュリアーニ: ギター協奏曲第1番 イ長調 op.30 (ギター: 荘村 清志)

***

ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8

 

【プログラムD - with 荘村清志】

ジェミニアーニ: 合奏協奏曲第12番 ニ短調 「ラ・フォリア」

ヴィヴァルディ: リュート(ギター)協奏曲 ニ長調 RV93 (ギター: 荘村 清志)

ヴィヴァルディ: 弦楽のための協奏曲 ニ短調 RV127

ジュリアーニ: ギター協奏曲第1番 イ長調 op.30 (ギター: 荘村 清志)

***

ロメロ: 弦楽のためのフーガ・コン・パハリージョ (ベネズエラ)

ピアソラ: ル・グラン・タンゴ (アルゼンチン)

セルバンテス: 5つのキューバの舞曲 (キューバ)

      (キスマーク、高級な夜の女、笑い、もう泣かないで、3つの衝撃)

ピアソラ: 室内オーケストラのための3つの小品(アルゼンチン)

      (プレリュード、フーガ、ディヴェルティメント)

 

【CD情報】

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コンチェルティ・ロマーニ&コンフルエンシア [2Blu-spec CD2]<日本来日限定盤>

4000円 / MHCC-30002

1952年以来、そのメンバーを変えながら一般の人々とクラシック音楽の世界をつないできたイ・ムジチ。

彼らが2015年の来日公演を前に、そのプログラム同様、ラテン魂溢れる音楽と、
コレッリ派のイタリアというまったく異なる二つの音楽アルバムを発売。
本作はその二枚をカップリングした日本限定盤。