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バイオ技術から生まれるファッションの未来を想像する展示会「bionic by sputniko!」をレポート

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2017年11月10日


バイオ技術から生まれるファッションの未来を想像する展示会「bionic by sputniko!」を


 

バイオ技術から生まれるファッションの未来を想像する展示会
「bionic by sputniko!」をレポート

 

 

 

 

8月18日から9月3日まで渋谷西武A館7階特設会場で現代アーティスト スプツニ子!さんの展示が行われており、細胞の培養から着想を得てファッションに落とし込んだインスタレーションが展示されていた。

 

スプツニ子!さんは英インペリアル・カレッジ数学科および情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクションズ専攻修士課程を修了。在学中より、テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像作品を制作し、2013年、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ助教に就任している。

 

近年のiPS細胞の研究や人工細胞を使った3Dバイオプリンタ技術は、人間の骨や臓器を人工的に作る可能性を示した。バイオ技術が革命的に進化する中、近年話題になった培養肉企業は、動物を殺す事なくその細胞から食用肉を培養、生成する研究を進めている。

 

今回の展示は、“もしこれが人間の細胞や、腫瘍、微生物などのバイオマテリアルで自分のファッションを生成し、衣服を自由に作れるようになったら?”という仮説をもとに展開しており、身体拡張の未来を想像させられるものになっているという。

 

「バイオ」という言葉を深く掘り下げた事がなかった私は、タイトルを聞いてどういう作品なのかが言葉だけでは理解できなかった。バイオとファッション? 興味津々でいざ会場へ潜入。

 

入り口では「靴を脱いでくださいね。」と言われて靴を脱ぎ、ドキドキしながら進むと、真っピンクに染まった会場が!

 

 

 

 

場内の中心に敷かれたLEDパネルには、最先端バイオ技術で培養食肉を量産する日本発のプロジェクト「Shojinmeat Project」協力の下で撮影された、鶏肉の細胞を培養する映像が、実験用シャーレを覗き込んだイメージで映し出され、音と共に色や形が変化していった。

 

その上には細胞が衣服に立体化したバルーンアートの作品。こちらはバルーンユニット「DAISY BALLOON」とのコラボ作品だ。

 

「培養液って実はピンクで可愛いんですよね。」とスプツニ子!さん。その言葉に感化され、見れば見るほど可愛らしく思えてきた。

 

 

 

 

寝袋のような形やドレスなどに変化を遂げる細胞たち。

 

 

 

 

奥のミラーに自分が映り込むと、今と未来が共存する感覚に陥る。

 

 

 

 

そして細胞の破片たちは今にも動き出して結合しそう。間近で凝視してしまった。

 

 

 

 

「実は、会期中に細胞が増殖するかもしれません」と伺っていたので、最終日もお邪魔すると…。

 

 

 

 

シャーレから飛び出すように細胞が増殖していた。

 

そして会場内を進むとドレスをまとったマネキンがあった。

 

 

 

 

こちらはパリ在住のファッションデザイナーSho Konishiとのコラボ作品で、3Dバイオプリンタで作ったドレスに細胞の装飾を付け、培養する工程を表現したそう。真っ白なチュールに付けられた赤や黒の模様は血管をイメージさせ、実際の細胞を写真などで見るより身近なものに感じられた。

 

 

 

 

さらに出口付近に進むと、「Shojinmeat Project」とスプツニ子!さんの対談「未来を愛する人の対話」をパネル化したスペースが!

 

 

 

 

「今回の展示で最初は細胞を培養してブレスレットを作ろうとしたんだよね」と話すスプツニ子!さん。プロジェクトはこの言葉から始まったが、実現しようとするとあまりにも月日がかかるため、このような展示に至ったとのこと。

 

展示や「Shojinmeat project」の活動、そしてバイオ技術が導く未来について理路整然と語るスプツニ子!さんを前に、将来は自分由来の細胞で「皮膚の上に皮膚をまとう」事が可能になるのではという想像もさせられた。今後も研究は進められていくそうで。スプツニ子!さんと「Shojinmeat Project」の今後の展開にさらなる期待を抱き展示会場を後にした。

 

 

文・写真:江奈さやか

 

 

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Writer

江奈さやか

江奈さやか - sayaka ena -

モデル/女優として各種メディアで活躍する一方、アーティストとして、美術専攻で高校を卒業した経験を活かし、油彩画、アクリル画、コラージュ、立体造形、写真など、様々な表現や手法で、既成概念や枠にとられず、衝動からくる即興作品を制作するなど、幅広く活動中。






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