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学芸員さん、教えて! あの北斎もかなわない!美人画のヒミツとは?

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2017年1月17日

学芸員さん、教えて!  あの北斎もかなわない!美人画のヒミツとは?


学芸員さん、教えて!

あの北斎もかなわない!美人画のヒミツとは?

 

ほの暗い灯篭の明かりに照らし出された美女が描かれた、何とも妖艶で繊細な作品。

こちらはあの有名な北斎に「名手なり」と評され、北斎自身も認めるほどの腕前を持つ画家の作品です。

さて、一体誰?そして絵の魅力のポイントを、メナード美術館の学芸員さんに教えていただきました!

 

ここがポイント!葛飾応為作【夜桜美人図】

①作者は、あの北斎の娘、葛飾応為

「名手ナリ」と評価され、北斎自身も認めるほどの腕前を持つ画家

②ほの暗い闇の中で、灯篭に照らし出された女性や着物、樹木などを浮かび上がらせる「光」と「影」の絶妙な描写が魅力

 

<作品情報>

葛飾応為《夜桜美人図》メナード美術館蔵 制作年:江戸時代後期 形 質:絹本彩色 サイズ: タテ88.8cm×ヨコ34.5cm 

 

 

夜、灯篭(とうろう)に照らされ短冊に和歌をしたためる若い娘。二つの灯篭の光が彼女の白い面差しや艶(なまめ)かしい着物の朱を浮かびあがらせています。

葛飾応為北斎の娘で、嫁いだ後、離縁し、父のもとで作画を続けたといわれています。晩年の消息など不明ですが、絵の腕前は一流で、北斎が「自分が描く美人画は阿栄(おえい)(応為のこと)には及ばない」と語ったとも伝えられています。

画中の女性は何を書いているのでしょう。筆をもつ白く細い指は、繊細ながらも緊張感がみなぎり、芯の通った女性の心の機微を表すかのようで、妖艶な雰囲気が見事に再現されています。

当時の江戸では、西洋画の技法が取り入れられる一方で、影絵や幻灯機が流行し、光学的な好奇心が芽生えていました。こうした「光」「影」への執着は、シルエットと化した樹々の表現や、一つ一つの星の光を描き分ける描写にも現れています。

 

 

 

いかがでしたか?

こちらの「夜桜美人図」はメナード美術館にて2017年1月29日まで公開中。

名画に会いにお出かけしてみるのもいいかもしれません。今月末までなのでお見逃しなく!

 

 

解説:メナード美術館学芸員

見出し文:新井まる

 

 

 

<美術館情報>

「メナード美術館コレクション名作展-とっておきの名画と出会う-」Ⅲ期

会期:2017年1月2日(月)-29日(日)

休館日:月曜日(但し1/2・9は開館)、12/24(土)-1/1(日)、1/10(火)

開館時間:10:00-17:00(最終入館は16:30まで)

観覧料:一般900円、高大生600円、小中生300円

会場:メナード美術館

HP:http://museum.menard.co.jp/index.html

Facebook:https://www.facebook.com/menard.art.museum/



Writer

【代表】新井 まる

【代表】新井 まる - MARU ARAI -

話したくなるアートマガジン「ARTalk(アートーク)」代表

株式会社maru styling office 代表取締役

 

イラストレーターの両親のもと幼いころからアートに触れ、強い関心を持って育つ。大学時代からバックパッカーで世界約50カ国を巡り、美術館やアートスポットなどにも足を運ぶ旅好き。新卒採用で広告代理店に就職し3年間勤務の後、アパレルEC部門の販促に約1年間携わる。人の心が豊かになることがしたいという想いから、独立。2013年にアートをカジュアルに楽しめるwebマガジン「girls Artalk」を立ち上げる。現在は「ARTalk(アートーク)」と改名し、ジェンダーニュートラルなメディアとして運営中。メディア運営に加え、アートを切り口にした企画・PR、コンサルティングなどを通じて、豊かな社会をめざして活動中。

好きなものは、自然と餃子と音楽と旅。

 

●Instagram: @marumaruc   

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