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クリスマス・ナイトミュージアム開催決定★ デトロイト美術館展の見どころは?!

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2016年12月17日

クリスマス・ナイトミュージアム開催決定★  デトロイト美術館展の見どころは?!


クリスマス・ナイトミュージアム開催決定★
デトロイト美術館展の見どころは?!

 

上野の森美術館で現在開催中の、デトロイト美術館展にて、12/17,24,25日の3日間にクリスマスイベントが開催されることになりました!!先日、女優の吉岡里帆さんがこのオープニングセレモニーに登場されツリーの飾り付けが行われました。この3日間は、クリスマス・ナイトミュージアムということで、夜間特別開館(17時半から19時)にてスペシャルな空間で作品を鑑賞することができるとのことです♡
(詳細は記事の最後にも掲載されております。各日100組限定です。)

 

クリスマスの音楽が耳に心地よく響く中、豪華な絵画の数々を堪能……。さて、どのような絵画を鑑賞することができるのでしょうか。デトロイト美術館展の中を少しのぞいてみましょう。

第1章は、『印象派』です。ピサロ、ルノワール、ドガといった印象派巨匠たちの作品が並んでいます。戸外の風景や当時の人々といった日常的な一場面がモチーフとなっている作品が多くあります。

 

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絵画の細部に描かれているワイングラスやティーカップ、楽器や洋服の布の質感などから西洋の生活に思いををはせることができるこの部屋に、クリスマスツリーは飾られています。

第2章は、『ポスト印象派』です。セザンヌ、ゴッホなどの名画が展示されています。ゴッホの自画像については、後ほどご紹介したいと思います。

 

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第3章は『20世紀のドイツ絵画』と題して、数々の作家の作品が並びます。カンディンスキー、ヘッケル、ベックマン、キルヒナー……。ドイツ表現主義という言葉で説明される絵画が展示されています。色鮮やかな空間になっているのが印象的です。エミール・ノルデの『ひまわり』は、画家を志すきっかけとなったゴッホのひまわりのオマージュとなっているそうで、前章からの時の流れを感じます。

 

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第4章は、『20世紀のフランス絵画』です。マティス、ピカソ、モディリアーニといった「エコール・ド・パリ」の代表となる作品の数々が並びます。

 

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いかがでしょうか。ざっと展示の流れを追っただけでも、一度は聞いたことがある名画が揃っている贅沢な空間がお分かりいただけたかと思います。産業のイメージが強いデトロイトにこんなにも沢山の名画が集まっていたことに驚きました。しかし、驚きはそれだけではありません。この中で一番の見所は、ゴッホとマティスの絵画です。アメリカの公共美術館の中で初めてこの2人の作品を手に入れたのが、何とこのデトロイト美術館なのです。もちろんその作品も来日しています。

 

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まずはゴッホの自画像です。

これはパリに滞在していた時、印象派の手法に影響を受けながら作風に色彩が帯びてきた頃の作品です。黄色い麦わら帽子、鮮やかな肌色と彼の目に映る神秘的な深緑。私は、ゴッホの人物画見ると、今にも絵画の中の人物がアニメーションのコマ送りのように動き出すように感じて楽しくなります。また、何点もある自画像の中からこれが初めてアメリカに渡ってきた自画像であるという視点で見ると、何とも言えない不思議な気持ちにもなります。この自画像には、青い洋服の下の方に指で塗った跡が残っており、時代を超えて遠くアメリカに渡ってきたその当時、彼の息吹を強く感じられたのではないでしょうか。

(※ゴッホの生い立ちについては別の記事で特集しているのでぜひご覧ください。 http://girlsartalk.com/feature/23737.html ) 

 

続いてはマティス。ひときわ目を引いたのがこちらの作品「窓」です。

 

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背丈ほどもある大きな絵画です。肘掛け椅子とテーブルがあります。その上には春から夏にかけて花を咲かせる忘れな草が盛られ、手前には赤い絨毯。涼しげな白いカーテン奥から爽やかな緑がのぞいています。窓から差し込む白い光。この作品をご覧になった方は、こんなにも大きな作品で、かつ完璧な色の配色や対比がどのようにして生まれるのかと驚かれるのではないでしょうか。当時の美術館がこのマティスの作品を購入することは、ちょっとした冒険であったと資料に残っているそうです。

しかも、この展覧会は月曜日と火曜日は全作品写真撮影可能です。では、なぜこんなにも豪華な展覧会が実現されたのでしょうか。実はこのデトロイト美術館展が開催されるにあたり、とある秘話が隠されています。

 

 

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1885年、デトロイト美術館が誕生してから、これまで多くの貴重な作品が所蔵され、デトロイト市民の誇りとなりました。しかし、2013年7月、デトロイト市財政破綻により、デトロイト美術館は閉館の危機に陥ります。市の財政補てんのために所蔵品を売るべきだという声も一部からあがります。しかし、手放せば二度と手に入らないであろう名画。そして何よりもこれは市民の宝なのです。

この危機を救ったのは、世界からの熱い想いです。国内外から寄付が集まり、その存続が可能となりました。今回来日している作品たちは、そうした困難を乗り越えて来日した特別なものなのです。ここにあるのは、単なる「豪華な展覧会」ではなく、普遍的に価値のあるものを大切にしていこうとした沢山の人の想いがのせられた展覧会と言えます。

 

私たちが、こうして絵画を堪能することができる幸福や感謝をクリスマスの想いと重ねて鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 

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文:Yoshiko

 

【パーティーへのお誘い★】
〜クリスマス・ナイトミュージアム〜
開催日 : 12/17、12/24 、12/25
クリスマス期間の3日間に限り、夜間特別開館。スペシャルな空間で作品を鑑賞いただける機会です。
●17:30~19:00に展示室を鑑賞頂けます。
●作品の写真撮影が可能です(諸注意事項有り)
●クリスマスデコレーション・BGMあり
※ペアチケット 3,000円(税込) ※各日100組限定
URL: http://www.detroit2016.com/outline/tokyo_event.html#12_1

 

 

【展覧会情報】

デトロイト美術館展
会場:上野の森美術館
会期:2016年10月7日 – 2017年1月21日

開館時間:9:30~16:30 (金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで

観覧料:一般1600円、大高生1200円

※月曜日・火曜日は全作品写真撮影可能(SNS公開が制限されている作品があります)
URL: http://www.detroit2016.com/ 

 



Writer

Yoshiko

Yoshiko - Yoshiko -

東京都出身。中高は演劇部に所属。大学、大学院と心理学を専攻し、現在は臨床心理士(カウンセラー)として、「こころ」に向き合い、寄り添っている。専門は、子どもへの心理療法と家族療法、トラウマや発達に関することなど教育相談全般。

子どもの頃から読書や空想、考えることが大好きで、その頃から目に見えない「こころ」に関心があり、アートや哲学にも興味をもつ。

内的エネルギーをアウトプットしているアートと沢山携わりたいとgirlsartalkに参加した。昨年はゴッホ終焉の地であったオーベルシュルオワーズを訪れるため、パリに一人旅をし、様々なアートを見てまわる。