event

写真家ヨシダナギのトークイベンドレポート! 〜「アフリカ人の美しさ」を伝える〜

NEWS

2016年10月6日


写真家ヨシダナギのトークイベンドレポート! 〜「アフリカ人の美しさ」を伝える〜


写真家ヨシダナギのトークイベンドレポート!
  〜「アフリカ人の美しさ」を伝える〜

 

写真家ヨシダナギさんのトークショーが、バンタデザイン研究所にておこなわれたのでgirls Artalkからその様子をたっぷりとご紹介したい。

TBSのTV番組「クレイジージャーニー」等で話題となり、アフリカを始めとする少数民族の作品を発表している彼女。大きく取り上げられたのは、写真を撮るために現地の人と仲良くなる方法。その民族と同じ衣装(はだか)になるということだろう。私が彼女を初めて知った別のバラエティー番組でも、そのことが紹介されていた。その事実を知った感想は、おそらく大勢の人と同じ「い、いったい、どんなひとなの?」である。

今回のトークショーでは、タイトル「アフリカを撮り続ける写真家 ヨシダナギの表現への想いと覚悟」の通り、アフリカの魅力のみならず、彼女自身についても時間の許す限り惜しみなく話してくれた。

 

dsc06604

 

ご存知の方も多いかもしれないが、まず初めにお話してくれたのは彼女の原体験。5歳の頃みたマサイ族のかっこうよさに感激して将来はアフリカ人になれると本気で思うも、10歳の時にそれは不可能という当然の現実にぶち当たるというものだ。その後は、ひきこもった時代も経ながら独学で写真を学び、2009年単身アフリカへ渡航する。その頃にはマサイ族だけでなく、他の少数民族の存在も知っていた。

 

ヨシダナギさん:

最初は、どうやって行くのか全くわからなくて、英語も話せなかったので、日本のアフリカ専門の旅行会社にコンタクトを取って、1回の渡航で多くの少数民族に会える場所に行きたいと言ったらエチオピアを勧められた。それでツアーを組んでもらった。

服を着てなければ着ていないほど興味をそそられて。なんで服を着ていないのにいらやしくもなくあんなにかっこいいんだろう、と。なので、少数民族でも特に裸族に近い人に会いたくて。

 

司会:
行ってみて衝撃は?

 

ヨシダナギさん:

思い描いていたまんまの人たちがいた!みんな1人1人がニコニコしている。太陽のように陽気な人。すごい衝撃を受けたっていうより、そうそう、こういう人に会いたかったんだって。

 

司会:
その時は写真家になりたかったんですか?

 

ヨシダナギさん:

写真家になりたいと思ったことは今も昔も1度もない。

私が今までアフリカ人ってかっこいいんだよって言っても誰一人そこに共感してくれなかった。あんな黒い人たちのどこがかっこいいんだって言われて。それが悔しくて…。自分が見たかっこいい人たちを写真で見せれば、親とか身の回りの人にも伝わるかなって。

ここまで聞いて、それでアフリカに行って写真撮っているのか、わかるわかる。と、思えるわけもなく、そこからいったいどうやって今にいたるの?!とワクワクするのは私だけだろうか。もっとその先が知りたい。これが彼女がいろいろな媒体で引っ張りだこの所以なのかもしれない。

そんな彼女が『写真家ヨシダナギ』を受け入れはじめたのはここ1年だという。

 

ヨシダナギさん:

私は、結果的にアフリカ人から仕事をもらったようなもの。なので、もしアフリカ人いなかったら、フォトグラファーとしてここでしゃべっていない。お仕事になっていなかったら、ただのアフリカ好きのアフリカ人をおっかけている人。本当にありがたいと思っている。

 

dsc06606

 

2009年から長年にわたり写真を撮ってきた中で自身が一番印象に残っている写真がこちら。この写真がスクリーンに出された時、会場から聞こえない「おお〜〜」という声が広がった。まばゆい空の前に突如現れた戦士たち。戦士のように強そうなのになぜか身体の曲線がしなやかでつやっぽい。

 

ヨシダナギさん

彼らの聖地と呼ばれる場所に、彼らと一緒に2日間旅をして作品を撮るということに初めて挑んだ作品なんです。

 

何回もの渡航の末に、伝統的なアフロヘアーのアファール族とやっと出会えるチャンスがめぐってきて撮ることができたこと、彼らは文句ひとつ言わずにモデルをずっとしてくれたことを熱く語ってくれるヨシダナギさん。

しかし、初めからこのような写真を撮っていたわけではない。2014年に初めて場所やモデルを選び、後加工(レタッチ)をした『作品』としての写真を撮った。それがこちら。

 

dsc06607

 

ヨシダナギさん:

ブログに写真を載せていて気づいたのですが、私は、アフリカに全く興味のない人にも見てもらいたい。ただのポートレートだと、確かにアフリカを好きな人は自分で検索をして、いい笑顔撮るなって思ってくれる。でも、アフリカに興味がない人からしたら、ただのアフリカ人の写真。自然団体のポスターの写真のようで伝わらない。どうしたら興味がない人にクリックして次を見てもらえるんだろう、どうやったら情報をよみとってもらえるんだろうとずっと考えていて……。で、思ったのが作品撮りをしてみたらいいのでは、と。そこに辿りついた。

私は、このトークショーの中で、一番彼女のことを知れたような気がしたのはこの語りの時だった。彼女が伝えたいのは、『アフリカ人の現状』とか『アフリカの貧しさ』とか『貧困の裏にある子供たちの笑顔と夢』とかではなく、ただただただ、『アフリカ人の美しさ』なのだ。

これまで私たちが目にする機会が多かったのは、アフリカの背景にありそうな不便さとか貧困とか不衛生さなどのネガティブなものを強調するために、その対照として映し出された美しさではなかっただろうか。あまりにも無意識に潜んでいたので、「こんなに大変だけれどもこんなに美しい」と示されていたことに、気付けなかった。そして、そういうことはきっとこの世の中多い。別の気持ちが潜む余地がない、ただ純粋に美しいと思うこと、はそういうことではないと彼女の写真とそこに対する想いから気づかされる。

彼女は幼少時からずっとそのキラキラ光る美しさの感動を持ち続け、それが表現に関わる全ての原動力になっている。

 

この後に続く話題からもぶれない彼女の想いが感じられた。彼女の写真は、そのレタッチをされた色彩の美しさも注目されているが、今回のトークショーでは、本邦初である加工前の写真を公開してくれた。

 

ヨシダナギさん:

現場には沢山の撮影機材を持って行けない。アフリカ人の肌の色を忠実に出すために、撮影できるのは、朝日が出始める1時間と、日が落ちきる前の1時間しかない。アフリカ人の肌は、光が強すぎると青とか赤紫に変色してしまう。私は茶色の綺麗な肌が好きなんです。その肌をどうしたら綺麗に出せるかなって考えて辿りついたのがこの時間。

 

司会:
レタッチをする時のナギさんの特徴的なエフェクトってありますか?独特の作風の色が出てますよね。

 

ヨシダナギさん:

常に考えていることは、構図。色は後でこんな風になるだろう、と。とにかく撮る時にハリウッドスターとかヒーローのような存在である彼らがかっこよく勇ましく見えるように。

 

そこにあるのは、やっぱり『アフリカ人の美しさ』。

 

dsc06615

 

司会:
レタッチを通じてこんな風に見ている人に感じて欲しいというのは?

 

ヨシダナギさん:

アフリカって土臭かったり、血生臭いイメージが強いと思う。もちろんそれがあるのがアフリカでもあるけれど、それとは違うポジティブな面を伝えたい。色味がすごく綺麗なんです。なので、明るいアフリカの色を伝えたいと思った。これが偽物の色ではない。多少強調しているところはあるんですけど、これは記録色っていうより私の記憶の中での色を出している。そこまで忠実に再現しなければいけないとは思っていないけれども、この写真にいたっては、この子の使っている黄色があまりにも綺麗だったので、その色をより本物の色に近づけるように作業をしていた。

トークショーは、質問タイムを含め1時間以上だった。トラブルがあってもなおアフリカに行き続けること、仕事として何を伝えたいと思っているのか、どうなりたいと思っているのか……という質問に対する全てに共通する答えは、1つであることがわかるだろう。

 

彼女は、自分のことについてよりアフリカの話になると途端に饒舌で楽しそうで誇らしそうだった。

 

dsc06623

dsc06638

 

文・写真: Yoshiko 

 

【登壇者プロフィール】

ヨシダナギ

1986年生まれ、フォトグラファー。
幼少期からアフリカ人へ強烈な憧れを抱き「 大きくなったら彼らのような姿になれる 」と信じて生きていたが、自分は日本人だという現実を10歳で両親に突きつけられ、挫折。
その後、独学で写真を学び2009年単身アフリカへ渡航、少数民族の撮影を開始。
2014年にはインド北部の高名なサドゥ”Shiva Raj Giri”に弟子入り。
ヨガ(苦行)による涅槃の境地到達を目指す独自の世界観を師弟生活のなかで学ぶ。数いる弟子のなかでも、ヨガで鍛えた強靭な陰茎に乗せてもらえるほどの信頼を得たが、帰国前夜にお布施$10,000を請求される。それに対して、金額交渉を行ったことにより破門。
現在はアフリカをはじめとする世界中の少数民族の作品を発表、その唯一無二の色彩と裸族と共に裸になるその奔放な生き方が評価され、TVや雑誌などに多数出演中。
近著には、写真集『SURI COLLECTION』(いろは出版)、アフリカ渡航中に遭遇した数々のエピソードをまとめた紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)がある。

(Official Web Site http://nagi-yoshida.com/wordpress/ より)

 

【主催紹介】

Vantan (バンタン)

1965 年の創立以来、クリエイティブ分野に特化して人材の育成を行っている専門スクール。
現役のプロクリエイターを講師に迎え、ファッション、ヘアメイク、ビューティ、グラフィックデザイン、映画映像、フォト、ゲーム、アニメ、マンガ、パティシエ、カフェ、フードコーディネーターなどの分野において、業界と連携した「実践教育」で即戦力となる人材を育成する教育事業を展開、これまでに 19万人以上の卒業生を輩出しています。

 

【東京・大阪】

・バンタンコーポレートHP : http://www.vantan.jp/

・バンタンスクール一覧HP : http://www.vantan.co.jp/school/

・バンタンデザイン研究所 : http://www.vantan.com/

・バンタンデザイン研究所高等部 : http://www.vantanhs.com/



Writer

Yoshiko

Yoshiko - Yoshiko -

東京都出身。中高は演劇部に所属。大学、大学院と心理学を専攻し、現在は臨床心理士(カウンセラー)として、「こころ」に向き合い、寄り添っている。専門は、子どもへの心理療法と家族療法、トラウマや発達に関することなど教育相談全般。

子どもの頃から読書や空想、考えることが大好きで、その頃から目に見えない「こころ」に関心があり、アートや哲学にも興味をもつ。

内的エネルギーをアウトプットしているアートと沢山携わりたいとgirlsartalkに参加した。昨年はゴッホ終焉の地であったオーベルシュルオワーズを訪れるため、パリに一人旅をし、様々なアートを見てまわる。






トップへ