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魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展 「舞踊、ファッション、美術、音楽――すべての芸術愛好家に捧ぐバレエ・リュス」

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2014年6月19日


魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展 「舞踊、ファッション、美術、音楽――すべての芸術愛好家に捧ぐバ


1909年、一夜のバレエ公演がパリを熱狂の渦に巻き込みました。

 

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天才興行師セルジュ・ディアギレフ率いる、「バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)」。

 

20世紀初頭のパリに花開き、伝説のダンサー、ニジンスキーを生んだバレエ・リュスの軌跡は、いまも“すべての芸術愛好者”の心を惹きつけています。

 

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現在、国立新美術館で開催中の「魅惑のコスチューム: バレエ・リュス展」は、そんなバレエ・リュスを「コスチューム」という視点で捉えなおす意欲的な試み。

 

ピカソやマティスといったビッグネームから、レオン・バクスト、ニコラス・レーリヒといったクリエイターたちの、万華鏡のように鮮やかで美しいデザインが会場を埋め尽くしています。

 

ニジンスキーの神話の世界。眠り姫のドレスに、貴婦人のマント。さくらんぼ。ピンクのリボンの白いプードル。星座を描いたレオタード……バクストによる古典回帰なデザインもさることながら、マティスやキリコのデザインになると、それはもはや”動く絵画”。

 

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アートを身に纏う、とは本来はこういうことにちがいない!

今年のいちばんの展覧会の予感に、知らず知らず笑みがこぼれます。

 

会場を満たすのはデザインだけではありません。

なにより感動したのは暗闇を抜けて足を踏み入れた空間に鳴り響く、ボロディンやチャイコフスキーの音楽。

ふつうの展覧会では体験できない「総合芸術」への目配せに、目頭が熱くなりました。

バレエ・リュスは、ダンサーや振付家だけでなく、20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーに『春の祭典』を委嘱するなど、幅広く新しい才能を輩出しました。

当初はロシアのエキゾティシズムとして人気を集めていたバレエ・リュスですが、やがてピカソやマティス、コクトー、ブラック、ローランサン、シャネルら、当時パリで活躍していた前衛の若手アーティストたちをコラボレーションさせ、「総合芸術」の革新として大きな影響を与えるのです。

「なんてこの展覧会は、アートを愛しているのだろう!」

高ぶった気持ちのまま、「バレエ・リュス展」を企画した国立新美術館主任研究員の本橋弥生さんにお話を伺いました。

 

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――すばらしい展覧会でした! バレエ、ファッション、美術、音楽というつまらない垣根が取り払われて、当時のパリの「総合芸術」の熱気が伝わってくるようです。歴史好きの私にとっては、まさに夢の宮殿でした!

「ありがとうございます。音楽を取り入れるということに関しては、何度も話し合い、スピーカーや音量などにも工夫を重ねました。

結果として、喜んでくださる方が多いことに安堵しています。

美術館においてコスチュームをメインにすること自体が例外的なのですが、バレエ・リュスの『総合芸術』という側面を伝えたいと思いました」

 

――広々とした空間に、ストーリー性のあるコスチュームがずらり。圧巻でした。

「今回は、オーストラリア国立美術館が有する世界屈指のバレエ・リュスのコスチューム・コレクションから、32の演目、約140点の作品を中心に、デザイン画や資料などと併せて紹介しています」

 

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――オーストラリア! ロシアでもフランスでもなく、なぜオーストラリアに所蔵されているのですか?

「1929年にディアギレフが亡くなると、バレエ・リュスは解散します。

その後もダリやシャガールが美術を手がけ、後年はモンテカルロやハリウッドへと魂は引きつがれていくのですが、その種子が大きく花開いたのがオーストラリアでした。

オーストラリア国立美術館は、1973年にロンドンのサザビーズで約400点ものバレエ・リュス関連の作品や資料を購入して以来、バレエ・リュスの衣裳を館の重要なコレクションとして積極的に蒐集してきました。

本展は、約40年かけて丁寧に修復されたコスチュームが、オーストラリア国外でまとまった形で展示される初めての機会なのです」

 

――歴史の証言でもあるのですね。ちなみに、一番人気の作品なんてあるのでしょうか?

「なんといっても、ニジンスキーの着用したコスチュームですね。

やはり彼は、男性の舞踊を主役にし、その魅力を知らしめた偉大なダンサー。

コスチュームは伝説が生きた証ですから、当然かもしれません。

男性である彼のウェストがあまりに細いことに、驚いたりもするんですけれどね(笑)」

 

インタビューは時間を忘れてつづきました。明るく華やかな本橋さんとのおしゃべり、楽しかった!

展覧会のお土産には、本橋さんが監修を務めた図録もおすすめ。おしゃれなレイアウトでコスチュームの細部まで堪能できる美しい図版に、ページをめくるだけでため息ものです。充実の演目解説付き。ぜひこの機会に、バレエ・リュスの魅力に触れてみてください。

 

音楽にも興味が出たら、ぜひ音楽会へも!

「東京フィル 午後のコンサート」

 

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取材・文:高野麻衣

国立新美術館

「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」

2014年6月18日(水)~ 9月1日(月)

 毎週火曜日休館 ただし、8月12日(火)は開館

http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014/ticket/

 







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