上野にある国立西洋美術館で6月23日から9月23日まで開催されているボルドー展。
ボルドーとはいわずと知れたワイン生産の名地!
また、海洋貿易でも栄え、その富で独自の都市文化を育んできたフランス南西の港町。
この展覧会、まずはいると先史時代〜ローマ時代の石器や壁画が展示されているのだが、
なんと今回約25000年前の「ローセルのヴィーナス」が初来日しているのだ。
他にも同時代のものがたくさん展示されており25000年前のボルドーの生活が伺えられる。
そこを抜けると中世から近世までのボルドーとゆかりのある人々の作品たちが立ち並ぶ。
ボルドーが生み出した文学思想家「3M」と呼ばれているモンテーニュ、モンテスキュー、モーリヤックの著作類、
また18世紀に「月の都」と呼ばれていた黄金時代の食器や部屋の様子などといった華やかな物が展示されている。
今回なんといっても注目したい作品はウジェーヌ・ドラクロワの「ライオン狩り」。
この作品は1855年の万博のためにフランス政府から注文を受けて描いた作品で、
主題の選択も自由に決めてよしとされた。
そんな中でドラクロワが選んだのは1840年代〜50年代に取り組まれていた「ライオン狩り」であった。
この作品を見ていて思ったのがライオン狩りという名なのにどこか人間狩りにも見える。
人の上にライオンが乗り、右端の男性は倒れ中央にいる男性は恐怖心全開の顔つきをしているではないか。
常に生き物の頂点でありたいと思う人間だが、そんなにうまくいくものではない。
無理して這い上がろうとせず生きるべきところで着実と生きていこうとなんだかこの絵を見て思った。
また今回オディオン・ルドンによるこの作品を模写した作品も展示されているので比較して見ると面白い。
ぜひこちらの作品は会場で見ていただきたい。
他にもロートレック、ルーベンス、ゴヤ、ジャン・デュパといった画家たちの作品も展示されいる。
ラファエロの師としても知られてるピエトロ・ヴァンヌッチの
「玉座の聖母子と聖ヒエロニムス、聖アウグスティヌス」も圧巻の美しさだ。
もちろんボルドー展というだけあってワインも忘れてはいけない。
最初の古代の部屋に展示されている1世紀半ばの「ボルドーワイン用のアンフォラ」であったり、
1730年頃に陶器で作られたワイン・クーラー、20世紀初頭あたりのワインのエチケットも数多く展示されており、
随所にワインの歴史が伺いられる。
展覧会という枠を越えてまるで博物館のようでかなり充実感に溢れるないようであった。
もちろん、展覧会売店にも今回はたくさんのボルドー産のワインが。
なかなか他にはない、芸術とお酒と都市の歴史を同時に理解が出来る楽しい展覧会であり、
この日、展覧会を見た後はワインの飲めるお店に自然に足が運んでいたのであった。
【情報】
「ボルドー展 ―美と陶酔の都へ―」
期間:2015年6月23日〜9月23日 月曜休、7月21日休
(ただし7月20日、8月10日、9月21日は開館)
開館時間:午前9時半〜午後5時半(金曜日は午後8時半まで)
開催地:国立西洋美術館(東京・上野)
観覧料金:一般1600円、大学生1200円、高校生800円
HP:http://www.tbs.co.jp/bordeaux2015/
文 / 藁科早紀 写真 / 洲本マサミ