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【演劇】ハイトブの会『楽屋』 女優・木下祐子さんと演出家・石丸さち子さんインタビュー

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2016年4月28日


【演劇】ハイトブの会『楽屋』  女優・木下祐子さんと演出家・石丸さち子さんインタビュー


清水邦夫の名作『楽屋』を18団体が競演する「『楽屋』フェスティバル」

注目は、2013年にNYのOff Off Broadway演劇祭MITFで受賞経験のある石丸さち子さんを演出に迎え、

本フェスティバル参加に向け結成された女優木下祐子さん率いる「ハイトブの会」だ。

石丸さんは先述の演劇祭で数々の賞に輝いた『Color of Life』の日本初上演を先月東京芸術劇場で終えたばかり。

本番5日前となる4月23日(土)、稽古場を訪ね、女優・木下祐子さんと演出家・石丸さち子さんに『楽屋』の

魅力や今回の公演についてお話しを伺った。

 

※『楽屋』の簡単なストーリーやフェスティバル概要についてはこちら
    【演劇】清水邦夫の名作『楽屋』を18団体が競演「『楽屋』フェスティバル」@梅ヶ丘BOX

 

girls Artalk:

今回「ハイトブの会」はどういう経緯で結成されましたか?

 

木下祐子さん:

『楽屋』という名作をいくつもの団体が競って上演するということを昨年12月に聞き、これは絶対面白くなるぞ、

と思って参加することを決めました。もうそれに向けてばたばたと飛び立ったというかんじで。演出家は石丸さち子

さんにぜひにという思いを募らせながら、お忙しそうなのでどきどきしながらの打診でした。

 

girls Artalk:

石丸さんは、3月に公演を終え、この後には一人芝居の描き下ろし演出作品が控えている、という多忙なスケジュー

ルをぬって今回『楽屋』をなぜ引き受けられたのでしょうか?

 

石丸さち子さん

まさに『楽屋』という戯曲だったからです。なによりも敬愛している戯曲でもありますから。戯曲は出会う年齢や

どの俳優で出会うかでも全然違います。沢山の人がフェスティバルで上演するなら私がやらなければ、と血が疼き

ました。

24歳から47歳まで演出家の蜷川幸雄さんのところにいました。最初に触れた作品が清水・蜷川コンビの『タンゴ・

冬の終わりに』、そして『なぜか青春時代』『血の婚礼』と立て続けにやってきているので、自分の中で「わかって

いるつもり」です。彼らがこの作品を書いて演出した年代と重なる今、改めて読み解きたい。掘れば掘るほど出てくる

はずです。何かの輝きが失せたら何かが俄然輝く。「私がやったほうがいい」と思いました。

私の演出は一作一作違うのですが俳優を生かすから俳優自身はとても喜んでくれます。俳優を生かしつつも作品に向

かってそこにとどまらない物を作り上げます。「ひとりじゃ見えない風景を私が見せてあげる」そういう思いでいつも

取り組んでいます。

祐子ちゃんが喜べばいいな、と思って今回引き受けました。以前『楽屋』を演出した時に読み取れていなかったことが

稽古場で読み取れ、新たな発見もあります。

 

girls Artalk:

では、以前の『楽屋』とは違ったものになりそうですか?

 

石丸さち子さん:

出演者も違いますし当時とは違うものになっています。

 

girls Artalk:

18団体が『楽屋』という同じ題目を上演するにあたり、「ハイトブの会」ならではの目指す色はありますか?

 

石丸さち子さん:

『楽屋』自体がそれぞれの女優という職業を背負う人の宿命がはっきりと描かれた戯曲です。

「この戯曲だからこうなっていく」、「この女優だからこうなっていく」、という2つの要素が交差してこそ

本当の面白さが伝わるはず。なので、今回この公演のために集まった女優たちで一言一句読み逃さず、稽古に

取り組んでいます。

 

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『その仕草は「ジュースを飲む仕草ね」「酒をあおる」とはこう口に含ませ飲むのよ』、と演出家自ら実演。

石丸さんの指示は実に具体的。シーン展開をどう効果的に見せるか、そしてそこに立つ俳優をどのように生かす

かという視点で演出している。

 

girls Artalk:

役作りなどについて俳優にはどのような指示をだしていらっしゃいますか?

 

石丸さち子さん

俳優には、今の自分を生かすだけでは、各々の登場人物の役に到達できないと伝えています。

たとえば松谷さん演じる女優Cがチェーホフ作『かもめ』のヒロイン、ニーナをやるためにどれだけの根回しをし、

若さを保つためにどれだけの努力をしているか、人を蹴落としてまでもその役をやる、という強さや毒々しさが

必要な役です。松谷さんは普段可憐で優しい方ですからね(笑)。

各女優、どこかで自分のキャラクターで押さえつけているところがあります。時に木下祐子らしさが足かせになる

ことがある。でも幽霊という役どころなのだからその足かせは必要ありません。現実世界では色々な制約があり

ますが、それを越え出た役柄であることを認識してもらっています。

 

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稽古場は4名の女優たちが各々やるべき準備に取り組み、よい緊張感が漂っていた。

セリフを声に出して確認する者、じっと集中を高めている者、通し稽古にそなえアプローチは人それぞれだ。

 

girls Artalk:

稽古を積み重ね、毎日どのようなことを感じていますか?

 

木下祐子さん:

明らかにそれぞれの俳優の課題が見えてきていて、日々そのハードルを越えることが大切です。

稽古は大変だけど、こんな幸せな稽古場はないと感じています。演出家に期待され要求される喜びというか。

「生きてるって」感じがしていますね!

 

girls Artalk:

通し稽古を見させていただいて、それぞれの女優の個性のぶつかり合いがこの芝居の醍醐味のひとつであると

感じます。各女優の魅力を教えてください。

 

石丸さち子さん

久保亜津子さんは今回最年長で還暦を迎える女優さんですが、少女のような演劇愛があります。

稽古場での芝居の成長を面白そうにニコニコ見ている。演劇が好きなことがそのまま見える。

それはこの芝居にとってとても大切な要素です。

松谷彼哉さんは、普段は可愛らしい方。そんな人の中に潜んでいる女優なら誰しももっていなければ

ならない乱れた美しさ、獰猛さを今回は引き出します。

最年少の瑞生桜子さんは若くて強い。強靭でへこたれない精神の持ち主です。

今回本番直前に役の交代があり、稽古場に彼女が入ったのは最近ですが、1日でセリフをほぼ完璧に

覚えてきました。松谷さんと向かい合う火花は面白いはず!

そして木下祐子さんには、普段の凛としたクールさを崩して、日常生活でのふっと力の抜けたかわいい

笑顔や無防備さを、舞台に惜しみなく晒け出してもらいたいと思っています。自由に今まで見せていない

ものを見せて欲しいです。

 

girls Artalk:

本番まで1週間をきりましたが、どのような進化を遂げていきたいとお考えですか?

 

木下祐子さん

テンションだけでいける芝居ではないので、ひとつも見逃さず繊細に演じていきたいですね。

 

石丸さち子さん

戯曲の自由さに飛んでいって欲しい。この戯曲に書かれているようにやりたいと思ったらすぐマクベス

夫人やニーナの気持ちになれる。その気になることがすごくすてき。そして、子供の頃のような憧れの力が

出てくれるといいと思っています。それぞれの女優たちが舞台上で子供のように無邪気にとんでもなく面倒

臭く、醜く美しく愛らしく存在してくれること。そうしたら魅力的な作品になりますね!

 

石丸さんは、俳優の状態を的確に捉え、作品世界の構築に必要なことを惜しみなく伝え続ける演出家で

いらっしゃった。心の奥底から沸き立つ魂の言葉で俳優に語りかけ、その言葉に誘導された女優たちは

実に勇敢に役に飛び込み、格闘していた。演じる喜びに溢れた稽古場は目が離せなかった。

 

一瞬たりとも同じ瞬間は訪れないステージの中で女優たちがどのような火花を散らすのか。

至近距離で女優達の競演を堪能してほしい。

 

4月30日以外はソールドアウト間近だという。

60席の小空間、ご予約はお早めに。

 

【情報】

ハイトブの会『楽屋』

HP:http://pokobokko.wix.com/haitobugakuya

公演スケジュール:2016年4月28日(木)~5月1日(日)

会場:梅ヶ丘BOX <世田谷区梅丘1-24-14 フリート梅丘B1F>

   新宿より小田急線[区間準急][各停]で14分

   梅ヶ丘駅 下車 北口・南口徒歩1分

 

文・写真/川嶋仁美

 

 

 

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Writer

川嶋 一実

川嶋 一実 - Hitomi Kawashima -

週末女優 -製薬会社OL×女優-

 

聖心女子大学卒。国内外で舞台・映画出演の他、聖心女子大学哲学科芸術学の授業で特別講師として招かれるなど活動の幅は多岐に渡る。

〈 人生に転機を 〉と2011年ひとりニューヨークに飛び込み、翌年アメリカで舞台「HITOMI」に主演。
2016年プロデュースユニット“週末女優”を始動させ、女の二人芝居『たまことゆかり』(作:五戸真理枝/文学座)を春・秋と連続上演。2017年ドイツの報道番組に密着取材を受け、独自のライフスタイルが紹介された。

学芸員資格保有。映画・演劇・音楽をメインにインタビュー記事や作品紹介を通じて、アートのワクワクをお届けします!

 

★twitter:https://twitter.com/ogawa_hitomi

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