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<時代の精神の根拠地> ~現代芸術を広く伝えた戦略~

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2014年3月9日


<時代の精神の根拠地> ~現代芸術を広く伝えた戦略~


<時代の精神の根拠地>

~現代芸術を広く伝えた戦略~

 

 

 

 

日本の国内において現代芸術を積極的に紹介した場所として、1975年開館の西武美術館に注目すべきでしょう。作家であり経営者である故 堤清二さん(1927-2013)のもとで西武グループの文化戦略が本格的に行われました。西武美術館(のちのセゾン美術館)は、劇場・映画館・ホール・出版社・書店・レコード/CD店などを通じて多角的に展開され、同時代に広く開かれた日本最大の窓として機能したのでした。西武美術館内の展示機能として存在した「スタジオ200」では世界中で話題になっている舞台や映画や音楽に触れ、世界のどこよりも簡単に前衛的な美術書やレコード/CDを手に入れることができました。

写真1

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美術館では「時代の精神の根拠地」を理念として、主に20世紀の先鋭的な海外美術の動向を扱う企画を開催、美術館にはセゾン・グループの美術専門書店「アール・ヴィヴァン」(95年に閉店、97年にセゾン・グループを離れナディッフとして移転再開)が隣接し、美術館とともにハイカルチャーのアートを普及、99年の閉館後は「セゾンアートプログラム」が芸術支援活動を引き継ぎ、画廊や廃校を使って同時代美術を紹介する年次展「アートイング」展の開催のほか、機関誌『SAP Journal』を10冊刊行します。

 

写真3-1(1982.7・8合併号)

写真3-2(1983.11号) 

 

 

 

「・・・この美術館が街のただ中に建っているということは、空間的な意味ばかりでなく人びとの生活のなかに存在することに通じているべきだと思います。ここで例外的に私達が一つの主張を述べるのは、美術を重要なジャンルとする芸術文化の在り方が、生活と、ことに大衆の生活と奇妙な断絶の関係を持っているという認識に立っているからです。」

( 西武美術館 「日本現代美術の展望」 1975.9.5-14 カタログより一部引用)

 

 

とは故 堤清二さんの言葉によるもので、自分達の生活意識の感情的表現として芸術作品に接するのではなく海外からの指導者による教養として礼儀正しく鑑賞するという姿勢で接するでもない、また作品をジャンル別に分類し百科辞典的な知識を前提に作品の前に立つことでもない、<分類学的>な境界を無視した文化戦略であり、多種多様の作品をとおして時代精神の表現の場であるようにと展開されてきました。

その強い意志が込められた戦略が、海外と比べても類のない日本独自の個性を持つ文化へと発展してゆくのです。

 

 

BGMのお供に♪

「ピアノ・フェイズ」(1967)スティーヴ・ライヒ(1936-)作曲

http://www.youtube.com/watch?v=i0345c6zNfM&list=RDi0345c6zNfM



Writer

寒川 晶子

寒川 晶子 - Akiko Samukawa -

ピアニスト

フェリス女学院大学音楽学部器楽学科を卒業。
神奈川県民ホール主催「アート・コンプレックス (塩田千春〜沈黙から〜展) 」でデビュー。
エルメス特別エキシビジョン「レザー・フォーエバー」(東京国立博物館表慶館) レセプションやファッションショー、美術館、プラネタリウム、寺院、イルフ童画館などでコラボレーションや記念演奏会に多数出演。
ピアノを中心とした作曲や即興演奏も行う。

オフィシャルホームページ http://akiko-samukawa.com






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