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1日限定の展覧会! 文化の翻訳家 舘鼻則孝『面目と続行』展

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2015年12月26日


1日限定の展覧会! 文化の翻訳家 舘鼻則孝『面目と続行』展


12月9日(水)、東京都文京区の旧細川伯爵邸和敬塾にてアーティスト
舘鼻則孝による1日限りの展覧会『面目と続行』が開催されました。 

 

舘鼻さんは日本のファッションが持つ可能性を最大限に前衛的に表現し、
ファッションシーンにおいてアーティストとして確固たる地位を築いています。 

 

皆さんもご存知かもしれませんが…こちらのレディー・ガガが履いたことでも話題になった
ヒールレスシューズを手掛けるなど、その功績は記憶にも新しいのではないでしょうか?

 

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出典:http://www.elle.co.jp/fashion/pick/tatehana11_0413 

 

そんな彼の作品は丹精を込めた伝統的な製法によって生み出された美しさだけではありません!
伝統工芸を重んじる側面を反映させながらも、古来から日本が培ってきた精神性を用いてます。 

 

そして、文化や歴史を通して現代を見つめるその姿勢は、物事の本質を俯瞰する
視点を持ち合わせているだけでなく、作品を見ている私たちとも共有します。 

 

プレスツアーで話していた舘鼻さんの言葉では… 

「古いと捉えられがちな伝統工芸も時代に合わせた表現を用いて伝えることは重要です。
同様に、世界に発信するということも重要なことで、私の仕事は日本の伝統文化を
現代へ伝わるかたちに翻訳することだと思っています。」と話していました。 

 

その言葉の通り一作品、一作品、向き合っていると…現代を生きる私たちの心に通じるものだけでなく、
忘れてはいけない物事を静かにそっと教示してくれているかのようなとても不思議な気持ちになります。 

 

本展では舘鼻さんのアイコンとも言える、日本の履物である下駄から
着想を得た《ヒールレスシューズ》や《フローティングワールド》。 

そして、メイン展示には現代版の煙管 ≪Theory of the Elements≫ や北陸を
中心とした伝統工芸士との製作による《スカルプチャー》などを含めた、
新作・未発表作含め約30点が展示されました。 

 

それでは、新作を中心に気になった作品をピックアップして紹介していきましょう!

 

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骸骨が座禅を組んでいるこちらの作品は… 

舘鼻さんご自身の身体をスキャンしてデータに置き換え、そのデータをもとに原寸大で
再構成したもので、鋳物の名匠である富山県高岡市の能作工房の協力を得て制作されました。
この作品は真鍮を流し込んで制作する鋳造作品というものです。
そして、座禅を組んでいるのは自分自身が成仏した姿を表現しています。 

 

プレスツアーではこちらの作品についても触れており… 制作に至った経緯には
2011年3月11日東日本大震災に体験した”死”に対しての恐怖がキッカケになったそうです。 

“死”に対しての恐怖を伴うだけでなく、その恐怖自体を拭い去るために、”死”を捉えようとする好奇心から、
「自分が死んだ姿を客観的に見てみよう!」という動機から生み出されましたとのことです。 

 

作品を見つめていると…こちら側が作品を鑑賞しているはずなのに、
逆に作品がこちら側を見つめられているかのような錯覚に陥ります。 

大震災に限らず…”生”と”死”というものは隣り合わせなんだということを気づかせてくれる作品です。

 

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こちらは五重塔のように重なり合って作品が成り立つ、現代版の煙管 ≪Theory of the Elements≫です。 

花魁が履く高下駄から着想を得た《ヒールレスシューズ》と同様に、
花魁が使用していたとされる煙管をかたちにしたものになります。 

 

宮本武蔵が執筆した『五輪書』にも記載されている森羅万象を
司る5つの要素(=五大思想)をモチーフにして生み出された本作。 

それぞれの八角箱の天面には「地(チ)・水(スイ)・火(カ)・風(フウ)・空(クウ)」
の文字が書かれており、八角箱には銀に金象嵌が施された本体が収納されます。 

本作「Theory of the Elements」はJT Rethinkの新しいスタイルの喫煙具
「Ploom」の協力のもと作り上げられた作品です。

 

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そして箱を組み立てた際には表面の模様が一つのストーリーになるよう描かれており、
こちらの八画箱の表面を彩る綺麗な漆と蒔絵は石川県加賀市の大下香仙工房で制作されています。

その他の煙管は金と銀の象嵌でできており、香合は三重県伊勢市の印伝を用いられ、
作品のすべてに伝統工芸が使われています。 

 

その背景には「日本の技術を知ってもらいたい!世界に発信していきたい!」と、
アーティストの使命であると強く発言する舘鼻さんの想いが込められています。 

 

 

その他の展示では… 

ジューズデザイナーでもある舘鼻さんの真骨頂《ヒールレスシューズ》や
《ヒールレスシューズ》のモチーフとなった下駄の作品はもちろんのこと、
絵画作品や彫刻作品などの様々な作品が見ることができました。

 

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光の角度によってうっすらと家紋のような模様が施されているのが分かります。 その繊細な細工に驚かされます。

 

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こちらは野外に展示されている花魁の簪をモチーフにした作品。 

実際に現物を見てみると…結構大きいです! 

古くに建てられた会場に違和感なくマッチしていることに驚きました。

 

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こちらは写真家の花代さんとコラボレーションした作品です。 

手前には舘鼻さんが制作した高下駄をモチーフにした緑青色の作品 

奥の屏風には花代さんが撮影した高下駄を履いた花魁の写真とご自身の詩がありました。

 

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また、こちらの会場である和敬塾本館(旧細川侯爵邸) は
昭和初期の華族邸宅だそうで、文化財として保存されています。 

 

 

会場の展示作品を順を追って鑑賞していくと、物語を紐解いていくような感覚になりました。 

「作品をつくるというビジュアルコミュニケーションを通じて、世界に対して日本の文化だけでなく
歴史も伝えていきたい。」というプレスツアーで舘鼻さんご自身が話していた言葉を思い出しました。 

 

作品を巡りながら展覧会のストーリーを汲み取ってください。 

きっと、そのストーリーから忘れてはいけない日本文化や歴史だけでなく、これから見出さなくてはならない未来。
その未来を導いていくために必要な本質を見抜くヒントが隠されているかもしれません。 

 

 

文 / 新麻記子    写真 / 新井まる 

  

【情報】 

舘鼻則孝『面目と続行』展 

会期:12月9日 

会場:和敬塾本館(旧細川護立邸) 

 

 

【アーティスト情報】 

舘鼻則孝 

1985年、東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。
シュタイナー教育に基づく人形作家である母親の影響で幼い頃から手でものをつくることを覚え、
15歳の時より洋服や靴の制作を独学で始める。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び後年は染織を専攻する。
遊女に関する文化研究とともに日本の古典的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。
現在はアーティストとして、国内外の展覧会へ参加する他、日本の伝統工芸士とのプロジェクトにも勢力的に
参加している。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、
世界の著名な美術館に永久収蔵されている。 

HP:http://noritakatatehana.com








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