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『キュッパのびじゅつかん ― みつめて、あつめて、しらべて、ならべて ー 』@東京都美術館

NEWS

2015年9月28日


『キュッパのびじゅつかん ― みつめて、あつめて、しらべて、ならべて ー 』@東京都美術館


ノルウェーの新進作家オーシル・カンスタ・ヨンセン 著の絵本『キュッパのはくぶつかん』。

主人公・キュッパ自身の好奇心と行動力で博物館が出来ていくというストーリーを導入として、

観察と収集を通じて表現するアーティストの作品や、コレクターの熱意を感じるコレクションを紹介し、

多様なものを分類して並べることから見えてくる新しい世界や、
それを誰かと共有する楽しさを体感できる参加型の展覧会です。

 

1冊の絵本の力に圧倒されながら展示ブースを歩みを進めていくと…

 

最初の展示室では「キュッパの部屋へようこそ」と題して、

絵本『キュッパのはくぶつかん』を読み聞かせをする、約10分間の映像が流されてます。

夢中になって観ている子どもたちの姿が印象的でした。

その向かいにはオーシルさんが白い壁に直接サインペンで、きゅっぱとその仲間たちを描いており、

彼女の目を通して描いた上野「UENO OBJECTS」という作品があります。

思わず目が釘付けになりました…!!

 

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観察と収集を通じて表現するアーティストの中には、

「大地の芸術祭」で鑑賞した『ソイル・ライブラリー』を制作している栗田宏一さん。

今回、東海地方の田や崖などから採取した色彩豊かな土を色分けして展示していました。

また、瀬戸内海で採取した植物や貝殻のコレクションをしている岩田とも子さんのブースからは、

物を収集する過程をとてもワクワクしながら楽しんでいる気持ちが伝わってきました。

 

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その他には…古くから大工さんが使用してきた墨壷、キノコ、タイル。

地元の農耕を調査するだけでなく、自身も農学校の講師をつとめていた、

宮沢賢治(URL挿入)が愛用していた道具や、採取した石を綺麗にディスプレイしている様子を伺えます。

その隣には色鮮やかな貝殻を収集していた木村蒹葭堂(URL挿入)のコレクションも見ものでした!

 

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落ち葉や木の葉。小枝…そして、石。

気になった物を自分なりに採取する行動こそが、物を並べて眺め見る行為(=観察)へとつながります。

そして、本展のサブタイトルにもある「みつめて、あつめて、しらべて、ならべて!」の言葉の通り、

そこから始まる物事こそが重要なのです!

 

その行為から生み出される”自分”と”自分を取りまく世界”とのコミュニケーション。

その”コミュニケーション”こそが本展のキーワードだと言えます。

続いて…鑑賞者を驚かす巨大インスタレーション!

日比野克彦さんによる『bigdatana―たなはもののすみか』を体験してきました。

大きな部屋に巨大な棚。岐阜のヒノキを使った木の巨大な棚と階段を上ると、

まるで子どもの時に感じたようなワクワク感が体感できます。

(上れる時間が決まっているので要注意!)

 

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また、床には1000種類以上のものが未整理のまま置かれており、

たくさんの木箱に「HIBINOからの5つの指令」と書かれた紙に従って、

実際にものをみつめて、あつめて、分類を考え、自分だけの標本箱を作るといった、

まさに「参加型」のアート作品を満喫できる仕掛けになっています。

 

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早速、私たちも参加してみました~。安産のお守りがポイントです!

 

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そして、次に『まなざしの冒険へ』と題されたブースに移動しました。

まず、一番に目に飛び込んできたのは綺麗な陶器が並べられた棚です。

こちらは、イギリス人の現代アーティスト、アラン・ケインの作品『忘れられた器たちの棲み家』です。

1960〜70年代にイギリスで流行し、その後時代遅れのデザインとして、
戸棚の奥に仕舞われてしまった様な陶器たちなのです。

300以上の器が並べられていますが、戸棚の左側にはスペースが設けられ、
「あなたの家の戸棚に仕舞われている、いらない器を寄はしてください。」と呼びかけ、
集まった器を順次に空いたスペースに展示していくという、参加型の作品になっています。

自身に対して「本当にいらないのか?」という問いかけが生まれるだけでなく、

世の中に対しての生産や流行に対しての意義を唱えている作品だと感じました。

会期中、いらなくなった器を持っていくと、作品の一部として展示されます。

 

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こちらの作品は2010年からスタートした瀬戸内海底探索船美術館プロジェクトがもとになっています。

ここでは瀬戸内海から引き上げたものを観察し、スケッチし、

自分なりに想像した見解や構想を書き加えるというものです。

訪れた人々のスケッチを目にするたび…様々な見解を目にするたび、その発想に驚かされます。

一番素敵だと思ったものは…『これは誰かが失恋して、海に落っことした自分のハート。』と

ハートの絵の真ん中から半分にかけて斜線を描いたスケッチを制作した4歳児の女の子のスケッチです。

 

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今回の展示では、自然科学、歴史系、美術系などの枠を超えて作品が展示されています。

参加・体験を伴う作品が多いので、参加した人が何を見つめ、何を体験したのか、

それらが積み重なって展覧会が出来上がっていっているようにも感じました。

キュッパのように自分の周囲に広がる世界を観察し、誰かと共有する楽しさを体験しに行ってみて下さい。

 

 

【展覧会情報】

『キュッパのびじゅつかん ー みつめて、あつめて、しらべて、ならべて ー』

会場:東京都美術館
会期:7月18日(土)〜10月4日(日)

開室時間:9:00〜17:30まで(入室は閉室の30分前まで)

夜間開室:金曜日は21:00まで(入室は閉室の30分前まで)

休館日:月曜日

HP:http://kubbe.tobikan.jp/

twitter:@kubbe_tobi

 

【イベント情報】

アラン・ケインの作品『忘れられた器たちの棲み家』では、展覧会最終日まで器の受け入れを行っています。

 

 

文 / 新麻記子  写真 / 佳陽