feature

知的にだまされたい! 75万人を動員した人気展覧会の続編「だまし絵Ⅱ」展

NEWS

2014年10月31日


知的にだまされたい! 75万人を動員した人気展覧会の続編「だまし絵Ⅱ」展


知的にだまされたい!
75万人を動員した人気展覧会の続編「だまし絵Ⅱ」展

 

 

 

だまし絵とは、その名前の通り、「目をだます」絵のこと。今日ではトリックアートのようなエンターテイメント性のある施設が増えた事で、だまし絵はかなり普及したと言えますが、本展「だまし絵Ⅱ」(Bunakumra ザ・ミュージアム)で紹介されている作品達は、アート的要素、発想、完成度がすべて備わっていて、かつ美術史上にも貴重な作品が多いのが特徴です。世界各地から集められてきた選りすぐりのだまし絵を、一度に見られる機会ってなかなかないのではないでしょうか。

 

DSC_0004
「だまし絵Ⅱ」は現在、兵庫県立美術館で開催中(Bunakumra ザ・ミュージアムは会期終了)

 

 

2009年に東京・名古屋・大阪で開催され、75万人を超える入場者を記録した「だまし絵」展に続き、二回目となった本展は、一回目とはまた違ったラインナップで、だまし絵における現代美術の展開にフォーカスしたキュレーションとなっており、新たな発想で好奇心を刺激する作品ばかり。今回は私が注目した作品をいくつかご紹介いたします。

 

DSC_0051

ジュゼッペ・アルチンボルド《ソムリエ(ウェイター)》(左)と《司書》(右)

 

 

この展示会のフライヤーにも大きく掲載されている、本展のキービジュアルとなっているのが、ジュゼッペ・アルチンボルドの「司書」。
ルネサンス後期、マニエリスムの代表的な作家とされるアルチンボルドによる本作は、ある絵の中に別のイメージの像を潜ませるダブルイメージの傑作です。

アンチボルドはミラノ出身でハプスブルク家に仕えた宮廷画家で、果物や野菜などを寄せ集めた不思議な肖像画など、静物や道具などを組み合わせて他の物を描き出す手法の元祖と言われています。「司書」を見てみると、遠くから見れば人物だと認識できますが、よく見てみると、身体や髪は積み上げられた本が、髭はハタキ、指はブックマーク、マントはカーテン? なんとも不可思議な絵です。この作品のモデルはウォルフガング・ラツィウス(宮廷の歴史を記録する修史官)とされていて、アンチボルドは当時の主知主義を茶化して描いたものと言われています。積み上げられた書物によって作られた人物は正に「本の虫」ですね。

 

 

 

DSC_0035
ダニエル・ローズィン《木の鏡》

 

ぜひ実際に体験していただきたい作品がこれ! 一見するとただの木片のボードに見えますが、作品の前に経つとボードに自分の影が鏡のように映ります。これは、作品の中央に据え付けられた小型カメラが作品の前に立つ被写体を捉え、モーターが取り付けられた木片がカタカタという音を立てて傾き、被写体を影のように形作るという仕組みです。ローズィンさんは、彼にとって魅力的な材料の一つである木を、コンピューターテクノロジーと掛け合わせた融合体として新しいアートを生み出したかったと語っています。

 

実際に体験してみると、近くからではわかりませんが、遠くからならその浮かび上がった自分がはっきりと見えます。
木片一つ一つは大きくないにも関わらず、細かい影を捉えたカメラから、木の優しい色と共に浮かび上がり、確かに自分自身であると認識できます。
見た目が木のパネルという事で、私達は作品に対して何も期待もせず、素通りしてしまうかも知れませんが、実際に通ってみると、自分が一瞬映ったりして、「えっ?今のは何?」と驚かされます。普段、いかに自分が先入観で物を見ているかを実感させられますね。

 

 

ガールズアートーク読者に特にオススメしたいのが、メレット・オッペンハイムの作品。
知っている方も多いと思いますが、彼女はシュルレアリスムに影響を受けたアーティストの一人で、さらにファッションデザイン分野にも取り組んでいました。
異物を組み合わせる事で、一つのイメージが、もう一つのイメージにメタモルフォーズ(容変)するという事実を投げかけています。
本展では毛皮とビールジョッキという異物を組み合わせた「栗鼠」、手袋から血管が出ているデザインの「手袋」が出展されています。

 

内部にあるはずの身体が外に飛び出すというアイディア。私達は皮のグローブも着けるけど、実際に考えると、自分の手の皮の上にもう一つの皮を着けているのってなんだか不思議な事なのかもしれません。私は彼女の作品が持っている独特の世界観があると思うのです。作品の雰囲気は可愛らしいですが、実際に使用しているモチーフと意味は少しばかりグロい。そんな作風が女心と似ているのかもしれません。

 

 

DSC_0065
エヴァン・ペニー《引き伸された女》

高さ3メートルを超える彫刻作品で、見る者を圧倒させます。
顔を引き伸ばした画像を見たり、街中の歪曲したウィンドウなどで縦に引き伸ばされた自分の姿を見た事がある人は多いと思いますが、それを三次元で見た事がある人っているのでしょうか?
本作はまさにそれ。あまりにも強烈な存在感を持っていて、少しばかり後ずさりしてしまいたくなるような威圧感があります。二次元で見る事と三次元で見る事の違いはとてつもなく大きいという事をこの作品を通して実感できます。さらに、睫毛、髪の毛、目玉、皮膚までもが精密さにも驚きました。後ずさりせずに、ぜひ近くで見てみてくださいね。

 

私達の先入観を打ち破る、驚きの作品の数々は、実際に「だまし絵展Ⅱ」に行ってみないと体感できません!
東京での公開は終了しましたが、現在、兵庫県立美術館で好評開催中です(一部出展内容が異なる場合があります)。
アートがわかる、わからない関係無しに、誰でも楽しめる展示となっていますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

【開催概要】兵庫展
だまし絵Ⅱ Visual DeceptionⅡ Into the Future
会期:2014年10月15日(水)~12月28日(日)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
※金曜と土曜は夜間開館 10:00~20:00(入場は19:30まで)
※月曜休館
主催:兵庫県立美術館、産経新聞社、関西テレビ放送、神戸新聞社
お問合せ:兵庫県立美術館 078-262-0901(代)
公式ホームページ:http://www.damashie2.com/

 

 

執筆:田中直子 モデル:太田みお、田中直子 撮影・記事監修:チバヒデトシ
※展示風景はすべてBunakumra ザ・ミュージアムで開催された「だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵」展より








トップへ