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ピアノで添える音模様 『<時代の精神の根拠地> ~現代芸術を広く伝えた戦略~ ②』

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2014年4月15日


ピアノで添える音模様    『<時代の精神の根拠地> ~現代芸術を広く伝えた戦略~ ②』


  ピアノで添える音模様  

『<時代の精神の根拠地> ~現代芸術を広く伝えた戦略~ ②』

 

 

 

 

 

さて、前回記事の続きになりますが、西武百貨店池袋店(現:池袋本店)内のスタジオ200では、1979年から1991年に至るまで、先端的・実験的な映像やライブパフォーマンスの紹介を続けました。

スタジオ200での活動は、その後には映画・映像分野でシネ・ヴィヴァン・六本木、シネセゾン渋谷などのミニシアターや、配給会社のシネセゾンへ発展。演劇・舞踏分野はセゾン劇場(後のル テアトル銀座 by PARCO)及びセゾン文化財団の運営へ、そして音楽分野では、現代音楽祭《MUSIC TODAY》の開催へと進む拠点になりました。

 

セゾン文化は、創作が「現在」の社会と人々の空気の中で生まれるものであり、同時代に現場が開かれていること、更に常に様々なジャンルの人が何かを作り続けていて、それらの活動の輪の総体としてあるようにと作られていたのです。

 

 

実は初めてファッションの展覧会をやったのも西武美術館です!

一方で江戸時代から見られるような伝統的なデザインの紹介にも積極的で、あらゆることが企画を立てれば実現するという柔軟な展開をしていきました。 

1970年代末から80年代のいわゆる西武セゾン文化が日本のアートやデザインに与えた影響はとても大きく、現在も当時の伝承が様々に垣間見ることができるでしょう。

そして何より、西武百貨店(=セゾン文化)に関わった文化関係者が非常に多く、現在は日本の社会のあらゆる主要な部分がセゾン出身の方によって支えられています。

 

 

 

 

西武百貨店はもちろん、西友、ファミリーマート、無印良品、ロフト、パルコ、リブロ……。そう、現在ではすっかり日常に溶け込んでいる場所こそが、そうなのです。

しかしこれらの店舗をつくった「堤清二」さんという方を若い方で知る人は少ないかもしれません。

 

今後、ビジネスと文化がバランス良く住まうには、どのようにしていけば良いでしょうか。ビジネスに直結しない純度の高い芸術は必ず必要ですが、一方で、そのような純粋で硬質な作品も紹介の方法によって、これまで以上に可能性が広がるのではないでしょうか。

芸術支援という話にも繋がってくるのですが、アメリカでは国はほとんど芸術を支援せず、個人や企業の寄付が文化事業を支えています。一方で日本の場合は美術や演劇は国や自治体の支援の下にあり、かつての西武百貨店のように日本の企業が文化支援を行ったというのは非常に希有なことでした。

 

                                               

 

 

一つセゾン文化が生んだ店舗「無印良品」を例にしますが 、「無印良品」は1980年の日本に消費社会、つまり「売るため」が過剰に先行していたことへのアンチテーゼとして生まれ、そのことに対しての批評を内側に含むものとして、「無印」という立場に「良品」という価値観をつけて誕生した概念です。(アートディレクターは故 田中一光氏)

そしてその概念の底辺には、日本が本来持つ質素な伝統を含んでいたり職人的な長年の技術と知恵を想像させるようなものが垣間見ることができます。

写真1

写真2 

 

 

 

 

ところで、インターネット・新聞・雑誌など含めた「情報」が集まる所は、ときにそこに取り上げられているものが総評ですべてであるという錯覚を持たせる現象を生むのですが、セゾン文化に注目すべき理由として、少数派の芸術や作品を、消費されていく商品と同じ土俵に乗せ、その結果、ビジネスを第一の目的としない純度の高い芸術を多数の方に紹介することになったことでしょう。

そういった平等な場所がなければ、残念ながらビジネスを目的としない芸術は、ときに「なかった」ことにさえなってしまう現実があるのです。それで良い、その領域の知る人が知っていれば良い、という意見もありますが、実際はどうでしょうか。

 

 

 

こうしてセゾン文化を記事にしながらも当時のことは未経験な筆者ではありますが、今後の芸術・文化を紹介することを考えたときに、自分が学ぶべき材料がセゾンにある気がしているのです。

 

 

 

 

 

最後にオススメの動画♪

スタジオ200にも関わりのあった、日本が誇る世界的な舞踊家のご紹介です。

故 大野一雄さん「美と力」(ラ・アルヘンチーナ頌)youtubeより

  http://www.youtube.com/watch?v=cG4H4yeNHs0

 

写真3

故 大野一雄さん(写真:池上直哉氏)ヨコハマ経済新聞(2010.7..16)記事より写真を引用 

写真4

 大野一雄「稽古の言葉」(フィルムアート社)より

Ⅲ愛があるけれども、わからないように より引用

・・・・無限の重なりのなかで、何をやってもいいんだ。魂だけを失わないようにして。いろんなものが重なって重なって、内から重なって、空のほうからはアルヘンチーナが出てきて、大野さん一緒に踊りましょう。こういうなかで踊りがね、あるんですよ。

 

 

*「稽古の言葉」(1997初版)はすでに品切れのところが多いようなのですが、どのページを開いても泣いてしまう、深くて温かな言葉が詰まった一冊です。                  



Writer

寒川 晶子

寒川 晶子 - Akiko Samukawa -

ピアニスト

フェリス女学院大学音楽学部器楽学科を卒業。
神奈川県民ホール主催「アート・コンプレックス (塩田千春〜沈黙から〜展) 」でデビュー。
エルメス特別エキシビジョン「レザー・フォーエバー」(東京国立博物館表慶館) レセプションやファッションショー、美術館、プラネタリウム、寺院、イルフ童画館などでコラボレーションや記念演奏会に多数出演。
ピアノを中心とした作曲や即興演奏も行う。

オフィシャルホームページ http://akiko-samukawa.com






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