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インターナショナルなかぐや姫 イタリア人絵本作家にインタビュー

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2015年3月27日


インターナショナルなかぐや姫 イタリア人絵本作家にインタビュー


When East Meets West

インターナショナルなかぐや姫 イタリア人絵本作家にインタビュー

 

ボンジョルノ!

光が降り注ぐ広い空、美しいカンツォーネ、マンマが作る美味しいピッザ、夜遅くまで街のカッフェでワイン片手に御喋りする人びと、歴史的な建造物や美術に生を吹き込ませながら日常を送る人びと、それはイタリアの街に広がる光景。

今回はイタリア・アートーク!

イタリア人絵本作家フィリップ・ジョルダーノさんにインタビューし、「イタリアと日本」「インターナショナルなかぐや姫」についてお話をお伺いしてまいりました!(インタビューの内容は意訳となります、ご了承下さい)

 

フィリップ・ジョルダーノさんは1980年イタリア・チェッレ生まれ、東京在住のイラストレーターであり絵本作家。

また日伊櫻の会さくら大使も務めています。

フィリップさんはミラノのブレラ美術学校に通った後、 IEDヨーロッパデザイン学校で勉強し、トリノでアニメ制作技術のマスターコースを修了。

日本の古典『竹取物語』を主題にイタリア風『かぐや姫』の絵本を制作し、2004年のボローニャ国際絵本原画展入選をきっかけに、児童書の仕事を開始しました。

雑誌や書籍のイラストレーション、おもちゃのデザイン、アニメーションなどの仕事も手がけ、絵本は日本、フランス、南アメリカ、 イギリス、中国、スペイン、ポルトガルなど世界各国で翻訳出版されています。

 

日本では絵本『まっくろくろのおばけちゃんのぼうけん』が岩崎書店から出版されています。

 

『まっくろくろのおばけちゃんのぼうけん』

 

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『かぐや姫』

 

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フィリップさんが描く『かぐや姫』には、とても不思議な生き物たちと聖なる美しさを持つかぐや姫が登場します。

東洋と西洋のアートが融合したタッチで描かれる森や竹林で暮らす生き物たちは、この世界では出逢うことのなさそうなどこかユーモラスなものばかり。

 

かぐや姫1

 

かぐや姫3

 

 

 

〜フィリップさんにインタビュー〜

 

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Q:いつから絵を描き始めましたか?

 

十代の頃からです。その時は悲しさや哀愁の感情を絵にすることが多かったんだ。

だけど、アートを制作する時の気持ちが段々と変化し、悲しみの気持ちから作品を制作するのではなく、喜びの気持ちを大切にして絵の制作を行うようになった。

悲しみから喜びへと表現する感情が変化した理由は…ちょっと成長したからかな。

 

 

Q: フィリップさんのかぐや姫の絵は絵本なんだけれども、何だか大人向けの絵ですね。

それはフィリップさん自身の内なる感情の変化も関係しているのですか?

 

そうだね。自分自身のこころを解放させ、自分の内なるものをアートとして表現して、観客(読み手)の人たちに見せる。

多分そこには、私のこころの移り変わりも少なからず反映されているのかもしれないね。

私はいつも、日本のアニメやアートにとても影響を受けて作品制作をしているんだ。

『かぐや姫』の森にいる生き物たちは和柄で描かれているけれど、

実はこれは、子どもの頃に見た、スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』にとても影響を受けたものだよ。

主人公は女の子で、とても美しく、とても勇気があり、少し男性的でありながらも、女性的な強さや人情も描かれている。

 

 

Q: イタリアには女の子、または女性の理想像というはありますか?

またはイタリア社会が持つ女性の理想像とイタリア人女性が持つ女性の理想像に違いはありますか?

 

イタリアは実はとても保守的な国なんだ。どの街にも必ず、教会がある。

イタリア社会全体が持つ女性の理想像というのは、どちらかというと男性が思う女性の理想像。

一方で、イタリアの女性はとてもリベラルな考えと明確な理像像を持っているんだ。

イタリア人女性は社会でも家庭でも、男女平等な権利を求めている。

男性の決定に全て委ねられて動く女性というよりも、自身の意見をしっかりと持ち、女性的な強さと美しさを持った女性が理想と考えているんだよ。

イタリアの社会や政治はまだまだ保守的な面が残っている。だけど、驚くべきことにイタリアの出版社や教育はとてもリベラル。

レッジョエミリア幼児教育アプローチ(※1)もいい例だね。

教育や出版社は一部とても革新的でリベラルな社会変革を行っているんだ。

イタリア社会は保守的だけど、リベラルな出版社があることは私にとってとても幸運なことだと思えるよ。

ジェンダーの問題を超えて、読者とアーティストと一緒に考えていこうとしているからね。

また多くの児童文学を通して家族観についても考えさせられる。

イタリア人にとって「家族観」ってとても大切なテーマなんだよ。

(※1:イタリア発祥の幼児教育実践法。「子どもは100人いれば100人の個性があり、100の可能性がある」をテーマに、芸術家たちが直接子供たちを保育したり、個性を尊重し、子供たちに自発的に考えさせる手法が特徴。)

 

 

Q:もしフィリップさんが絵本で理想の女の子像を描くとしたら?

 

私にとって、性別はあまり関係無いんだ。

一人の人間として最初に考えて理想像となるキャラクターを描いていく。

性別そのものを重要なテーマにはしたくないからね。

それよりも、一人の人間と文化的な側面から何が理想的か!?を絵本を通して伝えていきたい。

 

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Q:イタリアは私にとって魅力的でミステリアスな国なんです。

歴史的にイタリアは芸術の美の根源が眠っている場所。

オペラ音楽やバレエ音楽、ルネサンス期の美術作品もイタリアが起源となっていますよね。

でもどうしてイタリアは芸術・文明が発展したのでしょうか?

 

これは私の推測だけど、イタリアはとても中和的な国だからじゃないかな。

地中海や中東からも近いし、海に囲まれている異文化交流や貿易が盛んな場所だから、地理的商業的な環境に恵まれて、新しい芸術や芸術の発展が進んだのではないかな?

レオナルドダヴィンチやミケランジェロのような天才が生まれた。

フィレンツェが栄えたのも、商業と芸術の発展が相対作用し発展したからだよね。

 

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Q:日本にはかぐや姫のリサーチで滞在していますね。

そのリサーチから何か分かったことはありますか?

 

日本で分かったのは『竹取物語』はチベットの民話が起源(※2)だということ。

シルクロードを渡って伝えられた民話がルーツらしいんだ。

『竹取物語』というお話を通して、(着物を着る・詩を詠む・琴を演奏する等)日本人のアイデンティティーを知ることはとても大切だと思う。

そして、それと同時に他者との繋がりを知ることも大切なことなんだ!

そのお話がチベットからシルクロードを渡って日本に伝えられたお話と思うと、他国との繋がりが発見出来るし、より他国に対して親近感をもてるようになるよね。

本来コミュニケーションというのは、目的があるからはじまるものではなく、お互いに親近感があるからこそはじまるものだから…

『竹取物語』のルーツがチベットにあると思うと、チベットにちょっと親しみの気持ちを持てるでしょう?

(※2:『竹取物語』のルーツがチベットにあるかどうかというのは確実ではありません。

中国のチベット族から伝わった、もしくはチベット族が日本のお話の影響を受けた、日本のお蚕のお話から影響を受けて作られたなど様々な説がありますが、『竹取物語』はまだ分からないことが多く残されている日本の最古のお話です。)

 

 

Q: 日本の人びとに何か伝えたいことはありますか?

 

自分の考えを大切にして、旅に出てみて下さい。見えてくる景色が変わっていくでしょう。

 

フィリップさんありがとう御座います。グラッツィエ!

 

 

千年の時を超え、形を変えながら語り継がれる『竹取物語』

 

最近、私がスピーカーとしてお邪魔させて頂いた日本文化イベントでは、『竹取物語』の語り部が落語家とアーティスト(Mao Murakami)とコラボレーションをして読み聞かせのパフォーマンスを行っておりました。

 

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これまた面白い作りの『竹取物語』でした!

現代風かぐや姫ということで5人の大臣がスマップに、そして帝との恋文がiPhone6に変わっていました。

 

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千年前に生まれた『竹取物語』は現代でも様々な形で語り継がれているのです。 

 

 

Philip Giordano(フィリップ・ジョルダーノ) プロフィール

1980年イタリア・チェッレ生まれ、東京在住。イラストレーターと日伊櫻の会大使を務める。

ミラノのブレラ美術学校に通った後、 IEDヨーロッパデザイン学校で勉強し、トリノでアニメ制作技術のマスターコースを修了。

2004年のボローニャ国際絵本原画展入選をきっかけに、児童書の仕事を開始。

雑誌や書籍のイラストレーション、おもちゃのデザイン、アニメーションなどの仕事も手がける。

絵本は日本、フランス、南アメリカ、 イギリス、中国、スペイン、ポルトガルなどに翻訳出版されています。

 

フィリップ・ジョルダーノ公式ウェブサイト
http://www.philip-giordano-pilipo.com/

 

Mao Murakami公式ウェブサイト
http://happuldom.wix.com/happul-dom#!abouthpd/c8p6

 

出典
“Quando Il Sole Si Sreflia” worked by Philip Giordano, Giovanna Zoboli Published by Topipittori
“La Principessa della note splendente” Worked by Philip Giordano Published by sm
『まっくろくろのおばけちゃんのぼうけん』 フィリップ・ジョルダーノ作 岩崎書店出版 2010年

協力
日伊櫻の会 / E・V・Eコミュニケーションズグループ株式会社

 



Writer

Yuria Yoshida

Yuria Yoshida - よしだ ゆりあ -

青山学院大学文学部卒。
ロンドン大学院ゴールドスミスカレッジ​教育学部修了。
大学在学中より​世界中​の美術館巡りなどを通して、日本と西洋の​文化的な​つながりを模索する。
在学中、ニューヨークにある​The Art Students League of New York​にアート短期留学​。卒業後、オハイオ州​にあるDenison​大学​で日本語・日本文化教師​として勤務。

 

パリにある国連ユネスコ本部のお庭でコンテンポラリーなお茶会を開くこと​と​絵本を出版すること​​が夢。​
ルイス​・​キャロル​など、​​イギリス児童文学​に興味があり​。
好きな作家はヴィクトル=マリー・ユーゴー​とキャサリン・マンスフィールド​​とジョンロック​​。
​好きな詩は、W.H.オーデン作 「1939年9月1日」。






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